スポーツ放映権を巡る日本の三幕劇「ABEMA・Netflix・DAZN」
日本も例外ではない。スポーツ放映権を起点とした競争は、ABEMA・Netflix・DAZNと主役を変えながら3度繰り返されてきた。
第一幕・ABEMA(2022年)
サイバーエージェントのABEMAは、2022年カタールW杯の全64試合を無料配信した。推定配信料は200億円とされ、メディア事業はその四半期(2022年10〜12月)に96億円の赤字を計上したが、藤田晋社長は「W杯への投資は大成功」と総括した。狙いは短期的な収益ではなく、大量の視聴者を獲得し、プラットフォームの利用基盤を拡大することだった。
第二幕・Netflix(2026年)
2026年3月のWBCは、日本での独占配信権をNetflixが約150億円で取得した。WBCの配信兼は、前回2023年大会の約5倍、10年前比では約15倍だ。主催のWBCIが放映権料を30億円から150億円へ引き上げ、日本のテレビ局が慎重姿勢を示すのを見て早々に見切った結果、地上波中継はゼロになった。
だが、約120万人の新規会員を1年維持できれば150億円は回収可能で、実際に大会期間中、Netflixはそれ以上の新規世帯を取り込んだとされる。WBCは加入の「入口」であり、その後は映画・ドラマ・音楽で利用者を引き止められる。
第三幕・DAZN(2026年・直近)
2026年W杯の日本向け配信権はDAZNが握っている。日本向け放映権総額は300〜350億円(2022年カタール大会比約1.75倍)で、地上波各局と分担し、DAZNは150〜175億円を負担したとされる。しかし国内契約数は約100万件で伸び悩み、グローバルでも赤字が続く。
DAZNではW杯期間中に「表示価格問題」が起き、かねて指摘されたUI/UX・料金体系への不信と相まって反発を招き、6月18日にはDAZN Soccerの新規受付停止も発表した。この時期だけサッカーを観たかった層に「釣り」をしただけの印象が残る。DAZNはJリーグ放映権にも11年間で約2,395億円(年約218億円)を投じており、米国のPeacock・ESPNと同様、事業収益に対して過大な放映権負担を抱える賭けに踏み込んでいる。
