訪問者が求める「次の一歩」を提示。AI SDRの活用事例
AI SDRは、従来は人間が行っていた初期接触やヒアリング、追客をAIが自律的に行うシステムだ。訪問者の質問に受け身で答えるチャットボットと異なり、Webサイトの閲覧状況などを踏まえ、訪問者が必要とする情報を能動的に提案することができる。
澤野氏は、訪問者の検討状況に応じた具体的な活用例を紹介した。
サイト訪問から19分後、納得感とともに商談へ
ある平日の22時4分。製造業の情報システム部長が広告経由で導入事例ページを訪れた。同じ業界の事例を2つ読み、続いて料金ページへ移動。この行動から、AI SDRは「同じ製造業で従業員規模が近い事例をご案内できます。費用対効果と導入期間、どちらを先に確認されたいですか」と、具体的な選択肢を提示した。
さらに訪問者の答えに応じて、導入ステップとセキュリティ資料を提示。会話を重ねるうちに、導入希望時期は3ヵ月以内、社内では比較検討が始まっていることが分かった。
そこで、「ここからは状況を伺った方が早そうです。今週ですと木曜14時か金曜10時に担当者が空いています」と提案し、Webサイト訪問から19分後の22時23分に商談が確定した。
翌朝、営業担当には訪問者の氏名とメールアドレスだけではなく、AI SDRが整理した検討の履歴がすべて共有される。「情報共有に加え、訪問者が知りたいことを1つずつ解消し、本人の納得のうえで商談に進めることこそが、AI SDRの価値です」と澤野氏は強調した。
検討度が低い層を逃さず育成する継続的アプローチ
次に紹介するのが、訪問者の大半を占める「すぐ商談には進まない」ケースだ。
「業務効率化」と調べた担当者が、サービスページを訪問した。チャットの会話から、サービスに興味はあるものの予算化は来期であり、現在は情報収集中だと判明。AI SDRは、すぐに商談を促すのは逆効果だと判断し、社内共有に使える導入チェックリストや類似課題の事例を提示した。訪問者はメールアドレスを登録して資料を受け取っている。
その後も関心に沿った事例や費用対効果の資料を届け、メール閲覧や再訪などの行動シグナルが重なったタイミングで「社内検討は進みましたか。必要であれば比較の観点を30分で整理できます」と会話を再開。商談につながったという。
「重要なのは、検討開始から対話を途切れさせなかったこと。まだ検討段階にない訪問者を無理やり商談につなげようとするのではなく、訪問者が求める『次の一歩』を自然な流れで提案し続けることで興味関心を育て、適切なタイミングで商談に進めるのがAI SDRの特徴です」(澤野氏)
「一貫した顧客体験」を構築する3つの視点
単にAI SDRをWebサイトに設置するだけでは、成果は出ない。最も重要なのは、訪問者の検討状況に応じた「次の一歩」を設計することだと澤野氏。この設計は次の3つの要素で考えるという。
1つ目は「今どこにいるか」。どの広告や検索ワードから訪問したのか。どのページを閲覧しているのか。初回訪問なのか、再訪なのか。2つ目は「何を求めているか」。課題を理解したいのか。他社と比較したいのか。価格を知りたいのか。そして3つ目は「どこまで進めるべきか」。その場で回答するべきか、資料を勧めるべきか。メールで関心を高めるべきときもあれば、営業との商談を提案すべき場合もある。
「どの疑問を解消して、どのコンテンツで理解を深めて、どのタイミングで次のフェーズに進めるか。この一貫した顧客体験をマーケターと営業が共同で設計して初めて、AI SDRはその価値を発揮するのです」(澤野氏)

この設計により「3つの空白」を埋めた成功事例として、澤野氏は、DynaMeetが提供するAI SDRプラットフォーム「Meeton ai」の導入事例を紹介した。

