「表現者」を探す。起用すべきクリエイターの条件
ここまで読むと、「フォロワー数が少なくてもよいなら、誰でも起用すればよいのか」と思うかもしれない。しかし、そうではない。
企業が見極めるべき基準は、「何人に届くか」ではなく、「どんなクリエイティブを作れるか」である。
たとえば、商品の魅力を短時間で自然に伝える動画を作れること。広告らしさを感じさせず、TikTokやInstagram Reelsのタイムラインに自然に溶け込む構成になっていること。ブランドの世界観を理解し、自分の言葉で紹介できること。さらに、コメント欄でフォロワーとの会話が生まれ、日頃から継続的に投稿していることも重要な指標となる。
実際、MetaやTikTokが提供するクリエイターマーケットプレイスでも、企業はフォロワー数だけでなく、投稿ジャンルや過去のコンテンツ、エンゲージメント率などを条件にクリエイターを探せるようになっている。
つまり、企業が探しているのは「人気者」ではなく、「広告クリエイター」なのである。

「フォロワー数」は価値がなくなるのか?
では、大型インフルエンサーの時代は終わるのだろうか。
答えは「ノー」である。変わるのは価値ではなく、役割だ。
例えば、新商品の発売やブランドキャンペーンでは、依然として数十万人、数百万人のフォロワーを持つクリエイターの発信力は大きな意味を持つ。短期間で認知を広げ、話題をつくるという役割は今後も変わらないだろう。
一方、小規模なクリエイターは、広告クリエイティブを継続的に生み出す役割を担う。
実際の広告運用では、数十本から数百本の動画をテストし、その中から成果の高いクリエイティブへ予算を集中させることが珍しくない。そこで重要なのは、一人のスタークリエイターではなく、多様な視点から制作された多くのコンテンツである。
フォロワー数は「配信力」を示す指標として残る一方、「クリエイティブ制作力」という新たな評価軸が加わったと考えるべきだろう。
