共通言語の確立を目指す。全社ブランド「BluStellar」誕生の背景
帯刀(NEC):倉本さん、ありがとうございます。私からはNECが歩んできた約10年間の経営変革と、営業・マーケティングの連携についてお話しします。
NEC入社以来、40か国を超える地域での海外営業、経営企画など幅広い領域を経験、通信事業部門 執行役員を歴任。現在は、マーケティング推進部門長 兼 Chief of Staff for COOとして、NEC全社のマーケティングをリードし、グローバルパートナーアライアンス等を推進。
帯刀:1977年、当時のNEC会長である小林 宏治氏は、アメリカで開催されたイベントの基調講演において「C&C(The Integration of Computers & Communications)」という理念を提唱しました。1979年元旦の新聞広告ではNECが技術力で描く未来の世界を掲載して「C&C元年」を宣言し、通信機器とコンピュータをつくる企業から情報通信産業の担い手へと進化したのです。
ところが1990年代に入り、事業縮小期を経験します。業績の低迷を受けて携帯電話やコンシューマーPC、半導体といった事業を整理しました。つまり、ポートフォリオがガラッと変わったわけです。
当然、営業やマーケティングのミッションも大きく変わります。とくにマーケティング機能では、万人向けイベントや一般広告主体の広く多数のリードを集めるスタイルから、DXを推進する意思決定層へのダイレクトなアプローチが必要になりました。
しかし、現場では営業・技術が強い組織ゆえの課題が生じました。500〜600種類に及ぶ製品や事業部ごとに活動が個別最適化され、顧客の重要経営課題を起点とした一貫性のある体験の提供が困難だったのです。
そこで打ち出した改革の1つ目が、価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」という全社ブランドの確立です。従来は我々が提供する価値を「NECデジタルプラットフォーム」と呼んでいたのですが、社名が前面に出ることで主体者が曖昧になり、社内外双方の記憶に定着しづらいという課題がありました。そこで、お客様へ目指すべき道を示し、共に進む「羅針盤となる青い星=BluStellar」というコンセプトへ再構築したのです。
社内外へ何度も説明を重ねて浸透を図ったことで、製品群の壁を超えて「誰にどんな価値を届けるか」という共通目標と共通言語が全社に確立されました。
営業とマーケティングの融合を加速させる3つの条件
帯刀:2つ目の変革が「テクノロジーの分断」の解消です。当社は自前でシステムを構築できるIT企業ゆえに、部門ごとにツールがサイロ化し、経験や勘に依存した営業活動が行われていました。
そこで、CDPを構築してIT部門と連携し、施策情報や商談ステージを一元管理するリード管理システムへと全社統合を行いました。同じデータを見ながらダッシュボード上でリアルタイムに成果を可視化することで、営業のアカウントプランに対しても、マーケティング側から対等かつデータドリブンな施策提案が行えるヘルシーな関係性を築いたのです。
そして3つ目が「マーケティング人材の役割明確化」です。ジョブ型人事制度を進める中で営業や技術のスキルセットが定義されていく中、マーケティングの役割は不明瞭なままとなり、活動が個別最適化してしまう可能性がありました。
そこで、まずは19部門に分散していたマーケターを集結させ、「MOps」「プロダクトマーケ」「フィールドマーケ」の3機能に組織化し、マーケティング予算の統合管理を行いました。加えて、マーケターのスキルセットや12のジョブタイプを定義し、バッジ制度などでスキルを可視化し、役割と責任を明確にしたのです。
「共通言語」「共通テクノロジー」「人材定義」という3つの軸こそ、営業とマーケティングを融合させてBtoBビジネスを成長させるため、欠かせない要素だと言えます。
これらの取り組みを経て、現在ではターゲット顧客起点でのABMへの転換や、セールス・カスタマーサクセスまで網羅するRevOpsへの進化、AI実装による高度化へと変革を拡大させています。
倉本:帯刀さん、ありがとうございました。「BluStellar」という共通のブランド軸を掲げ、同じデータを見て役割を明確にするというNEC様のプロセスは、まさにBtoBブランディングと組織融合のベストプラクティスだと感じます。
ここで会場からもいくつか質問がありましたので、取り上げて議論を深めたいと思います。
