「細かい特徴を46個定義」レコメンド最適化の裏にあるAI×人力
鄭氏は、同社のデータ分析の考え方について、学術論文を例に解説した。
たとえば、「コーヒーは肝臓に良い」という通説を証明する分析では、まずはコーヒーの摂取と肝機能に関する相関を発見し、大まかな傾向をつかむ。その後、地域や属性などに分けて分析し、どの成分にどのような効果があるのか明らかにしていく。アソビューのデータ分析でも、まずは顧客の属性データや社内での会話から大まかな相関を把握し、仮説を立てることを重視。その上で、統計データによって仮説を検証する。加えて、インタビューによる質的調査も実施している。
このような分析の結果は、顧客へのレコメンドに活用されている。たとえば、新規顧客に次のお出かけ先を提案する際、何をおすすめすると良いかを次のように導く。
「まずは、居住地や閲覧履歴などの、大まかな7つの系統から、顧客へのレコメンド候補を広く集めます。その後、施設の特徴や本人の行動など、さらに細かい特徴を46個定義します。ここまでの要件定義を人力で行い、それをAIが機械学習して顧客別のおすすめランキングを作成し、レコメンドを決定しています」(鄭氏)
その後、一人ひとりの顧客に合ったレコメンドを届ける段階で、Brazeを活用している。その1つが、レコメンドメール施策だ。
この施策では、AIで分析して決定したレコメンド商品をBrazeの属性情報にひもづけることで、ユーザーごとにパーソナライズされたメール配信を実行。その結果を検証し、さらなる分析につなげている。
“真のニーズ”を反映したタグ管理
商品ページに付与する「タグ」については、顧客の実際のニーズや背景を踏まえて管理している。たとえば、雨の日にも集客するために、従来は「駐車場あり」というタグを使用していたが、インタビューで顧客の声を集めていくと、それでは不十分だと分かった。
「駐車場があるだけでなく、その中でも『濡れずに入れる』施設が重宝されているのです。大きなテーマパークでは、屋外駐車場から施設までの距離が長く、ベビーカーでの移動が大変です。そこで『立体駐車場』のタグを商品に付与し、お客様に提案できるようにしました」(鄭氏)
タグの効果を確かめるために、Brazeを活用した検証テストも実施している。テストマーケティングとして作成したランディングページ(LP)に検証したいタグを入れ、クリック率などの反応を計測。効果が高いタグが見つかれば、実際の商品ページに反映している。
Brazeの石本氏は、この施策について「当社のツールは顧客との関係構築やコミュニケーション強化を目的に利用されることが多く、プロダクトの検証に使うのは珍しいケースです」と説明。顧客への実際のアプローチだけでなく、本格的な開発の前にユーザーの反応を確かめる実験環境として、柔軟に運用できる面もあるようだ。

