ステップ1 まず自社の見え方を可視化する
セッションでは、HubSpot Japanが実際に取り組んできたAEOの実践が、4つのステップに分けて解説された。
「AEOには、これをやれば正解という明確な手順があるわけではありません。ただ、危機感の高い企業ほど、とりあえずやれることから始めがちですが、私たちの失敗も踏まえると、段階を踏んで実践していくことが大切だと感じています」(土井氏)
最初のステップは現状の可視化だ。HubSpotは自社ツール「HubSpot AEO」を使い、ChatGPTやGeminiといった主要な生成AIの中で、自社がどれだけ引用されているか、競合と比較してどれだけ存在感があるかをスコア化した。あらかじめ登録したプロンプトに対して、生成AIがどう回答するかを時系列で追跡する仕組みだという。
「たとえば『マーケティングと営業の連携を強化するにはCRMをどう使うべきか』というプロンプトに対して、選択肢の1つとしてHubSpotの名前が挙がってほしい。そうしたプロンプトを洗い出し、1つずつ表示状況を追いかけています」(土井氏)
可視化はできても、次の一手がわからないという壁にぶつかった同社。加えて、良かれと思ってやっていたことが、AEOの観点ではマイナスに働いていたケースもあったという。
「価格ページを見やすくするためにJavaScriptで表示していたのですが、それがAIにとっては読み取りづらい構造で、誤った価格情報を学習してしまっていたんです。ここは気づいてすぐに修正しました」(土井氏)
ステップ2 優先順位づけ、数百件の記事を「間引く」
可視化の次に着手したのが、優先順位づけだ。HubSpot Japanのブログには当時、数百件規模の記事が蓄積されていた。しかし、関連トピックの記事が大量にあると、AIから見て、結局何が専門の会社なのかわからなくなってしまうという。
そこでHubSpotは、既存記事を「製品との関連度」と「バイヤージャーニー上の位置づけ」という2つの軸でスコアリングした。
たとえば、「比較・選択」系の記事を0、「CRMとは何か」といったソリューション認知系の記事を1、「ハウツー」系の記事を2として優先順位をつけ、リライトする順番を決めていった。
スコアリングの結果、全体の約40%の記事を非公開にするという決断も下した。JavaScriptやeラーニングなど、自社の事業ドメインから離れたトピックの記事が対象だ。
「担当チームとしては思い入れのある記事を非公開にするのは苦しい判断でしたが、これが効いて、逆に自社の事業ドメインに近い領域への評価が増えていくのが見えてきました」(土井氏)
可視化から優先順位づけまでは、2、3ヵ月ほどの期間をかけて進めたという。地道な棚卸し作業を、専任のマーケターが担当してきた。

