マーケ志望で営業配属。1年目の転職活動が「書類全滅」に終わった理由
野崎:営業といっても、プロデューサーとして全体を描く、マーケティングの頭脳として采配するポジションだったのでは?
西村:おっしゃるとおりです。営業は、お客様の経営課題に向き合い、チャネルを広げていく非常に重要な役割でしたし、学びも多くありました。
ただ、私自身は「自分で数字を見て、施策を直接動かす実行部分(運用)を究めたい」という思いが日に日に強くなっていたのです。営業にやりがいを感じる一方で、自分の本当にやりたいことは実行側にあるのではないかと、キャリアの方向性に関する葛藤がありました。

野崎:どのあたりに、特にギャップを感じていましたか。
西村:営業の役割は、お客様の課題を聞いて提案し、チャネルを広げていくことです。数字を見て施策を考える実行部分は、運用担当者に任せる形で、マーケティングのスキルを習得できている実感が得られませんでした。
野崎:営業として顧客のビジネスを広げる醍醐味はありつつも、料理にたとえるなら、ホールではなくキッチンに自ら立ちたかった、ということですね。それで転職活動を始めた。1年目の頃ですよね。
西村:はい。一度転職活動をしてみたのですが、見事に書類選考で落ち続けて、面接すらさせてもらえませんでした。それで、一旦転職は諦めました。
野崎:これは動く時期の問題です。キャリア支援の現場で見ていても、希望と違う配属になった方は転職市場に出てくる傾向が強いです。しかし、1年目はほぼ決まりません。1月頃から動いて、入社時には2年目になるスケジュールならギリギリ通るかもしれませんが、本人の熱量と転職市場が受け入れてくれるタイミングは必ずしも一致しません。
小さな実績から信頼を重ねる。転職の前に、社内で職域を広げる動き方
野崎:転職を諦めた後に、どう動いたのですか。
西村:運用の仕事を経験するため、まずは先輩が兼務していた小規模案件を引き継がせてほしいと上司に直談判しました。そこで実績を作り、12月頃に正式な異動を希望したのです。異動後は、オフラインコンバージョンを扱う部署で広告運用を担当しました。
野崎:この動き方は、社内異動のお手本としてぜひ参考にしてほしいところです。まず案件を1つ任せてほしいと頼み、実績と信頼を積んだ上でスイッチする。異動させる側に安心感を与えてから動く。転職カードを切る前に、まず検討してほしい選択肢です。
念願の運用側に回ってみて、ギャップはありましたか。
西村:事前に少し経験していたため、大きなギャップはありませんでした。むしろ、自分で数値的根拠をもとに改善提案ができるようになり、営業時代に感じていた「もっと直接的にマーケティングの専門スキルを磨きたい」「自分で手を動かして施策を実行したい」というもどかしさが解消され、着実にスキルを習得できている実感が得られたことのほうが大きかったです。
野崎:そのまま社内でキャリアを積めたはずですが、なぜ3年目の春に転職を決断されたのですか。
西村:念願の運用側になり、数値的根拠をもとに改善提案も自分で行えるようになって、非常に充実していました。ただ、クライアントワークの性質上、どうしてもCVやCPAが主な評価軸となり、それが実際の事業売上にどうつながっているかが見えづらいという、支援会社ならではの壁を感じるようになりました。自社でデータを持ち、事業成長そのものに全力を注げる事業会社へ挑戦したいと考えるようになったのが理由です。
野崎:支援会社にいる方が、必ずと言っていいほど直面する壁ですね。
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竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)
早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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