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内製と外注の結節点を探る。大手企業マネジメント層300人調査が映す、自走するマーケティング組織の条件

岩崎 史絵[著] / 高山 透[写]

ノウハウを残すための内製主導が「属人化」を招く

 内製を選ぶ理由として最も多かったのは「自社にノウハウや知見を蓄積したいから」というものだ。だがその一方で、ノウハウ蓄積を目的に内製した層の半数は「特定の人に依存して、異動・退職でノウハウが失われるのではないか」というリスクも感じているという。

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 池照氏は、こうした状況を生む要因として「1人が多種類の仕事を抱えすぎているのではないか」との見解を示す。たとえばチェーンストアに新卒で入社した場合、店舗勤務から店長へ昇格し、さらにエリアマネージャーへと進んでいく王道のキャリアパスがある。このやり方は、自社に最適化された深いドメイン知識を持つ人材を育てる反面、外の知見には弱い「自社ガラパゴス化」を生みやすい。

 一方で、今の時代はデジタルの専門性も不可欠なものとなっている。このように、「縦の専門性を深めること」と「横に広がる幅広いドメインの知識を持つこと」を1人に求めると、「できる人」に依存することになり、ノウハウが組織のなかに蓄積されにくくなる。

 安藤氏も池照氏の主張に同意する。パルコでは若手が3〜5年ごとに必ず異動するため、データを活用できる知識が身についた頃に配置が変わってしまうという。そんな状態を解決するにはどうすれば良いか。池照氏は「深いドメイン知識を持つ人と、専門知識を持つ人をチームとして融合させるマネジメントこそが要になります」と述べる。

外注の壁は「残らない・戻せない・見えない」

 もちろん外注にもリスクがある。メンバーズの調査によると、外注によって「自社にノウハウが蓄積されない」「他社への乗り換えや自社運用への切り替えがしづらい」「業務プロセスがブラックボックス化する」という意見が上位に並んだ。

 折衷案として「内製化支援を入れれば良い」という意見もあるが、ここにも落とし穴がある。内製化を目的とした支援サービスの導入経験者に課題を尋ねると、「推進人員が圧倒的に不足していた」「専門業務が多岐にわたり自社だけでは定着しきれなかった」という意見が上位を占め、外部の伴走姿勢よりも、受け入れる側の人員・体制の不足が内製化挫折の主因になっている点が浮き彫りになった。

 メンバーズの永松氏は、企業支援側の立場から、「内製か外注かを問うのではなく『どういう変革チームを作るか』という視点が重要です」と明言する。「外部と内部が共存する形で、情報の非対称性をなくし『特定の人物だけに知見を貯めるのではなく、組織に知見を貯める』体制づくりこそ、自走するマーケティング組織を実現するうえで欠かせません」(永松氏)。

成果の差を生むのは「経営戦略」と「現場」の連動

 実際、成果を出せる組織は何が違うのか。調査からは2つの傾向が示された。

 1つは、外部をノウハウ移転や人材育成の目的で活用している組織ほど成果が出ており、日々のPDCAの頻度も高いこと。もう1つは、「経営が描く戦略」と、「現場の施策実行」の連動度合いによって、成果に大きな差が生じていることだ。「経営戦略と現場の施策が連動している」と答えた層と、連動していない層とで比較すると、「成果が目標通り以上」と答えた割合に大きな開きがあり、非連動層では大半が目標を下回っていた。

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 経営戦略と現場の連動を支える鍵となるのは何か。ここで浮かび上がったのが、ミドルマネジメントの機能だ。

 連動できている理由に「中間管理層が機能している」を挙げた層は、成果が目標通り以上と答えた割合が明確に高かった。池照氏は「かつてのリーダーはレビューや承認をするだけの存在でしたが、今はインプットからアウトプットまでのプロセスを理解し、どこにボトルネックがあるかを把握して解消していくことが仕事になっています」と説明する。そのボトルネック解消の手段として活用されているのがAIだ。

 たとえば顧客戦略の立案・実行についても、施策ごとにセグメンテーションやシナリオ設計・登録、クリエイティブ制作を展開していては、時間もかかるしスタッフも疲弊してしまう。そうではなく、AIを活用してセグメンテーションの自動化やシナリオの自動生成・最適化、クリエイティブ生成を行っていけば、プロセス全体を効率化でき、改革にもつながっていく。「付け焼き刃で対処するのではなく、プロセス全体を見直し、改革のストーリーを描くこともリーダーの役割です」と池照氏は説く。

 そんなAIについて、マネジメント層はどのように向き合っているのだろうか。調査結果から、企業がAIに期待している成果を読み解いた。

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AIを前提に「注力すべき分野」を整備・育成する

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社メンバーズ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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