ポイント3|注目すべきは「巨大」「未充足」「潜在」の3つのCEP
CEPは20〜30個ほど策定して調査することが多いが、どこに注目すべきか迷いがちだ。田岡氏は注目すべき3つのCEPを解説した。
1つ目は巨大CEP。カテゴリーのなかで特に大きいCEPである。巨大CEPを理解しないままでは、小さなCEPでコミュニケーションを重ねている可能性がある、と田岡氏は警鐘を鳴らす。
2つ目は未充足CEPで、一定のサイズがあるのに想起されるブランドが少ない、あるいは分散しているCEPだ。そして3つ目が潜在CEP。今はまだ小さいが未充足が大きく、成長可能性の高いCEPで、田岡氏は「将来の成長余地として注目したいCEP」と位置づける。なお、どのCEPを取りにいくかは、ブランドの価値観や特徴との適合が前提となってくる。
具体例として示された飲むヨーグルトでは、3分類がこのように表れていた。
- 巨大CEPのうち「風邪に負けない免疫力をつけたい時」はR-1、「トイレ習慣をよくしたい時」はビヒダスが獲得している。
- 「睡眠の質を高め朝スッキリしたい時」はYakult1000が獲得しているが、CEP自体のサイズは限定的。
- 「罪悪感なくデザートを楽しみたい時」は顕在化しているが未充足で、選ばれるブランドはほぼ1つに限られる。
- 「ストレスで荒れた胃腸を労わりたい時」「野菜不足な食事バランスを整えたい時」「ダイエット中の空腹を紛らわせたい時」「運動後にタンパク質を補給したい時」は潜在CEPで、拡大余地が大きい。
ポイント4|想起の課題は「想起浸透率」と「ネットワークサイズ」の2軸からも確認する
次に田岡氏が示したのは、ブランドごとの想起の課題を見極める、2軸のマップだ。横軸は想起浸透率で、いずれか1つ以上のCEPでブランドを想起した人の割合を指す。縦軸はネットワークサイズと呼ばれるもので、想起した人が平均いくつのCEPでそのブランドを想起するかを表す。実際、多くのカテゴリーで、浸透率が高いブランドほどネットワークサイズも大きい傾向があるという。
だからこそ、全体の傾向から外れた位置に、ブランドごとの課題が表れる。飲むヨーグルトでは、Yakult1000は浸透率が最も高い一方で、多くのCEPで想起されているわけではない。逆にR-1は多くのCEPで想起されているが、浸透率はまだ高くない。
「Yakult1000は想起浸透を十分に取れているので、睡眠以外の場面でも思い出してもらう必要があります。反対にR-1は様々なCEPで想起されているので、全体の想起をもっと高めなければいけない。自社はどちらに課題があるのかを認識せずに、ざっくりと『想起を上げよう』とすると、方向性がかなり変わってしまいます」(田岡氏)
ポイント5|急成長ブランドは、CEPを「群」で捉えて、想起を浸透させていく
歯磨き粉の調査でも、同じ構図が見えた。最も大きなCEPの「歯周病」はG.U.M、「歯茎ケア」は生葉が獲得し、最も濃く想起を集めていたのが「知覚過敏」のシュミテクトだ。
田岡氏が注目したのは、シュミテクトの想起が知覚過敏にとどまっていない点である。「歯科医に指摘された時」「歯周病を予防したい時」など、様々なCEPでも、シュミテクトが想起されるようになっていた。
「特に強く想起を獲得できているエントリーポイントを中心に、周辺のエントリーポイントでも想起を浸透しているケースが多くあります。1つの場面だけでは、想起してもらえる人も機会も限られます。様々なエントリーポイントで想起を獲得していくことで、さらに成長を続けられる。シュミテクトは、その例だと思います」(田岡氏)
田岡氏はR-1についても、「風邪に負けない免疫力」「季節の変わり目の体調管理」など想起が波及していると捉えることができる。つまり、CEPは単体ではなく、連続的につながる「群」として捉え、単一の偏ったCEP獲得に留まっていないかを点検する視点が欠かせない。
この記事は参考になりましたか?
- MarkeZine Day 2026 Autumn連載記事一覧
-
- 競合は同じカテゴリー内にいるとは限らない。CEP起点の成長戦略、鍵を握る7つのポイント
- 内製と外注の結節点を探る。大手企業マネジメント層300人調査が映す、自走するマーケティング...
- なぜその投資か? カルビーと求人ボックスが語る、オールターゲットのメディア戦略
- この記事の著者
-
落合 真彩(オチアイ マアヤ)
教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
