アポ獲得率25%。ISの成果を引き出す2つのAI機能
集約されたデータ基盤の上に構築されたのが、インサイドセールス(以下、IS)の現場支援を行うAIテクノロジーだ。従来、300もの多種多様なサービスを理解し、適切なタイミングで提案することはIS担当者にとって極めて難易度が高かった。同部はこの「AIの壁」を克服するため、実務に直結する2つの機能を開発した。
1つ目は「顧客ディープリサーチ機能」だ。これはCRMツール上で1クリックするだけで、Webサイトやサードパーティデータ、社内の過去履歴をAIが自動でクローリング・要約する仕組みだ。架電前に顧客の事業概要、採用情報、業界動向などを即座に把握できるようになり、準備時間の短縮と質の高い顧客理解を同時に実現した。
2つ目は、架電時の会話の展開をリアルタイムでアシストする「架電トークサポート・商材提案可否判定機能」だ。「安心感の醸成」「自分ごとへの引き込み」「課題の特定」というフェーズごとに適切なトークスクリプトを提示。さらに、対象企業のエリアや規模、職種といった条件から提案不可の商材をAIが自動判定・除外する。
「事前にNG条件を排除し、刺さるトークと適切な商材をサジェストすることで、ISの迷いをなくしました。結果として、電話さえつながればアポイント獲得率25%という非常に高い成果を叩き出しています」(繁田氏)
現場の声を即日反映する「共創型」の要件定義とPDCA
しかし、どれほど優れたAIツールを開発しても、現場の日常業務で活用が進まなければ意味がない。テクノロジーを形骸化させず、現場に定着させるための「プロセスの工夫」も今回の取り組みの大きなポイントだ。
開発にあたっては、「現場の使いやすさ」と「業務の確からしさ」を最優先事項に設定し、ツールの要件定義段階から、高い成果を出しているISメンバーを巻き込んだ。現場のハイパフォーマーの知見やアイデアを優先的に機能へ反映させることで、「自分たちのためのシステムである」という当事者意識を現場に醸成していった。トップダウンによるシステムの押し付けではなく、一貫して、使う側の目線に立った共創型のアプローチを行ったのである。
さらに、システム稼働後も現場とのコミュニケーションを絶やさなかった。「昨日使ってみてどうだったか」を検証するユーザーインタビューやユーザー会を連日開催。現場から上がった細かな要望や違和感をその日のうちに修正し、改善回数を重ねるPDCAサイクルを高速で回していった。
「毎日のやり取りは大変だったかもしれませんが、現場の声を即座に反映し続けることで信頼関係が生まれました。現場を巻き込み、ストレスなく使える環境を地道に作り込んだことが、高いアポ率などの成果につながったと考えています」(繁田氏)
この記事は参考になりましたか?
- MarkeZine Day 2026 Autumn連載記事一覧
-
- 顧客と営業から「愛されるマーケティング」を目指す。パーソルホールディングスが乗り越えた3つ...
- “売るためのEC”はもう限界を迎えている。顧客に選ばれる理由を作る「メディアコマース戦略」...
- テレビCMもここまでデータドリブンに!実購買データで「狙う・買う・測る」運用型テレビ広告と...
- この記事の著者
-
MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
