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MarkeZine Day 2026 Autumn

「内製 VS 外注」の二項対立に閉じない オルビスと三井住友FGが挑んだマーケティングの内製化

渡辺 佳奈(編集部)[著] / 川口 紘[写]

なぜ“完全内製化”を選ばなかったのか

 生成AIをはじめとするテクノロジーの進化および普及により、内製化のハードルは下がりつつある。完全内製化を目指そうと思えば可能な今、両社は外部パートナーとの関係をあえて断ち切っていない。

 たとえばオルビスの場合、社内のメンバーで多くの広告を運用しているが、広告費の一部は代理店経由の出稿に充てている。山口氏はその狙いとして情報取得とリスクヘッジを挙げる。

「最新メニューや先行機能の情報は大手代理店にいち早く集まります。自社運用だけでは業界トレンドを見落とす懸念があり、トラブル発生時の体制補強の意味もあって外部への委託を維持しています」(山口氏)

 三井住友FGの河津氏は、組織の柔軟性とガバナンスの観点を強調する。

「コーポレート機能の一部として社内の活動を発信する部署ゆえに、市況や経営方針で予算や組織の優先順位が変動します。そのため、実務部隊をすべて社内雇用で抱え込むと、固定費化のリスクがともなうのです。金融機関として不可欠な品質管理などの責任は社内のメンバーが担い、専門的な実務は外部の知見を活かす構造が適しています」(河津氏)

直面した壁をどう突破したか:社内の合意形成と信頼獲得

 内製化推進で最大の難所となるのが、既存のプロセスを変えることに対する社内の合意形成だろう。オルビスの山口氏は、代理店経由でも成果を実感していたステークホルダーの納得を得るために心を砕いた。

「全媒体を一気に内製化しようとすれば反対されたはずです。そこで、成果が出やすいリスティング広告から着手し、2週間に1回は進捗と小さな成果を報告しました。『気づけば前進していた』という状況を2年かけて作り、外堀を埋めながら味方を増やす作戦です」(山口氏)

 三井住友FGの河津氏も、社内理解の醸成に苦心した当時を振り返る。

「銀行員に活動の重要性を理解してもらうため、机上の理論ではなく事実で価値を示しました。たとえば『オウンドメディアで公開したタイアップ記事によって、問い合わせや協業相談、取材依頼が〇件増えた』などの小さな成功体験を可視化して共有し、信頼を積み重ねるイメージです」(河津氏)

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内製化がもたらした効果:コスト削減を超えた価値

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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