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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

メディアの数字が教えてくれないこと。カルチャーから読み解く、生活者との新しい接点

2. デジタルが導くリアルライフ回帰

欧米の若者が惹かれる偶発的リアル体験

 デジタル化が進む一方で、海外の若者の間では、リアルな体験を促すコミュニティアプリが大きく普及しています。象徴的なのが「Partiful」や「Timeleft」といったサービスです。

 Partifulは、チャット機能にイベントカレンダーや出席管理が組み込まれたアプリです。「今週末、あのポップアップに行かない?」といった軽やかな集まりを立ち上げやすく、オンライン上のつながりを現実の体験へ変換するツールとして支持を広げています。

 一方のTimeleftは、アルゴリズムでマッチングされた初対面の4〜6人がレストランに集まるサービスです。特徴的なのは、全員がスマホを伏せ、デジタルから距離を置いた状態で食事を楽しむ点。マッチングアプリのような品定めのプレッシャーもなく、純粋な会話を楽しめる場として、世界50ヵ国・250都市以上に拡大しています。かつて街角や喫茶店で自然に起きていた偶発的な出会いを、今はアプリが再設計しているのです。

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会話ではなく、静かな没入を共有する

 リアル回帰には、もう一つの流れがあります。会話で盛り上がるのではなく、同じ空間で静かな没入を共有するという方向です。Miu Miuの「Book Club」や、静寂のなかで読書を楽しむ「Reading Rhythms」はその象徴です。あえて同じ場所に集まり、本の世界にゆったりと浸る。純粋なアテンションを共有する静かな時間が、現代における贅沢なつながりになっています。

デジタルで集まり、リアルで癒される

 この背景にあるのが、FOMOからJOMOへの感情のシフトです。SNSで取り残される恐怖ではなく、「あえて見逃す喜び(JOMO)」を選ぶ。すべてを追いかけるのではなく、自分のペースで世界と関わる感覚が、若い世代の間で静かに広がっています。

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 重要なのは、彼らが単にオフラインへ逃避しているわけではないということです。むしろデジタルを、リアルな出会いや没入体験を生み出す入口として使っています。デジタルで集まり、リアルで癒される。オンライン上の接点は、最終的に心地よいオフライン体験へ向かうための導線(O2O)になっているのです。

 ブランドにとっての機会は、オンライン上でより多く接触することだけではありません。生活者が安心して身を置けるオフラインの場をつくることにあります。情報を届けるのではなく、ノイズから離れられる時間を提供する。これからのブランド体験は、そうした“心地よい余白”をどう設計できるかにかかっているのかもしれません。

3. 声がつくる親密なつながり

音声から巨大メディアへと進化した「Call Her Daddy」

 リアルな親密さを求める感覚は、メディア消費のあり方にも変化をもたらしています。海外エンタメ業界では今、ポッドキャストを軸としたビジネス戦略が加速しています。

 その象徴が米国の人気番組「Call Her Daddy」。恋愛トークから始まった音声番組は、今やセレブや政治家も出演する巨大メディアに成長しました。音声を起点に、YouTubeやTikTokでの切り抜き動画、映像番組化、ライブツアーまで全方位に展開し、ファンとの深いつながりと圧倒的なリーチを両立しています。

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テレビの「余韻」を届けるコンパニオンポッドキャスト

 この流れは、既存のテレビ番組や映画にも広がっています。本編を補完する「コンパニオンポッドキャスト」がその代表です。たとえば、人気恋愛リアリティショー「Love Island」は、本編放送後に公式ポッドキャストを毎日配信。出演者の振り返りトークを届けることで、視聴者の熱量を次の放送までつなぎ止めています。

動画プラットフォームも音声に参入

 さらに、映像プラットフォームも音声領域へ参入しています。NetflixがSpotifyと提携し、複数のビデオポッドキャストを展開したことは、その象徴的な動きです。ポッドキャストはもはや音声だけのニッチなメディアではなく、動画、SNS、ライブ、ファンコミュニティへと広がるメディアインフラになりつつあります。

今なぜ「声」なのか?

 最大の理由は、台本のない生の声が生み出す距離の近さです。アンスクリプテッド(台本なし)だからこそ、リスナーは作品を鑑賞するというより、親しい友人の話を聞いているような感覚を持ちます。さらに音声は、通勤や家事、散歩など、画面を見ていない時間にも自然に入り込むことができます。

 ポッドキャストが生み出している価値は、単なるリーチではありません。信頼できる人の声を通じて届くという親密さこそ、他のメディアにはない強さです。

 だからこそブランドにとって重要なのは、信頼されている会話の文脈に、どう自然に加わるか、なのかも知れません。声のメディアにおけるブランドコミュニケーションは、メッセージを挿入するものではなく、リスナーが心を許している関係性の中に、違和感なく存在することが求められているのです。

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4. YouTubeが「テレビ」になる日

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50791

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