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効率化の時代にあえて“超属人化”を選ぶ理由 アナグラム阿部氏が語るAI時代の経営・マネジメント論


ブレイクスルーを要する問題解決では人間に軍配

──属人化・人間理解を重んじる阿部さんですが、同時にWeb広告の会社を起こされたデジタルの人でもあります。そんな阿部さんがAIをどのように活用されているのか、率直に気になるので教えてください。

 結構使っていますよ。僕は現在アナグラムの会長という立場にあるのですが、投資事業や外部顧問などで様々な業種に関わっています。第一次産業の事業者と関わることもあり、従事者の統計データや減少予測など、一般的な公開データを整理する作業でAIを活用する機会が多いです。

 事実を揃える作業はAIが非常に得意とするところですが、そこからアイデアを出す段階になると、AIからは“真っ当な答え”が出がちです。ただ、真っ当な答えで解決できるような問題は、既に誰かが解決しているはずなんですよね。そうではないブレイクスルーを要する問題の解決においては、やはり人間のアイデアのほうが優れていると感じます。

──そうした得意・不得意の見極めも、毎日AIに触れているからこそできるのでしょうか?

 そうですね。「この問いかけ方だとゆるい回答しか出ないな」という感覚は、使っているうちに皆さんも身に着くと思います。「ものすごく優秀なインターンからアイデアを出してもらう」くらいのスタンスで使うと、ちょうど良い付き合い方ができるのではないでしょうか。

──自らAIを触ってSNSなどで発信する経営者が増えている印象です。

 様々なAIツールが登場しているため、触って感覚を掴むこと自体は大切です。ただ、四六時中AIばかり触っている経営者が多く見受けられます。触ることは大事ですが、最も大切なことは自身の事業を前に進めることであり、経営者はそこにフォーカスすべきです。「どのAIツールが効率的か」などの検証は、経営企画に任せれば良いと思います。手段にとらわれて目的を見失ってはいけません。

AIスキルより磨くべき人間力のススメ

──阿部さんは以前、Xで次のような内容を投稿されていました。なぜマネジメントはAIに食われないのか。この言葉の真意をお聞かせください。

 AIがどれだけ進化しても、AIの言うことに人間は従えないと強く感じます。指示がどれだけ的確で正しかったとしても「Geminiがそう言ったから」と言われた途端、誰も信用しないと思うんです。逆に、指示の意味が理解できなくても「あの上司が言うなら飲み込んでやってみようか」という心理で人間は動くものです。

 AIの精度が高くなっても「誰が言うか」は極めて重要です。仮にAIで導き出した指示だったとしても「AIで出した」とは絶対に言わないほうが良いです。信頼を一気に失ってしまいますから。

──「この人の言うことなら飲み込んでついていこう」と思わせる“人間力”のようなものが大事なのですね。人間力はどうすれば磨けると思いますか?

 すぐに磨けるものではありませんが、日頃から意識しておくことは大事だと思います。たとえば社内で見当違いな意見が出たときに、切り捨てるのではなく「その人の立場・知識・角度ではそう見えてしまうんだな」と捉えることが有効です。

 的外れに思える意見であっても「一理あるのではないか」と立ち止まること。どんな意見も頭ごなしに否定するのではなく「その人の立場ではそう見えている」という前提に立つんです。正しいかどうかは二の次で「そう見えている」という事実に目を向け、そう見えないように手を打つ必要があります。

 これは経験則ですが、そのような行動をとっていると、少しずつ「信頼残高」が貯まっていきます。「頭ごなしに否定しない上司」という信頼を得る意味でも「一理ある」と立ち止まる姿勢は有効なのではないでしょうか。

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人間はとてつもなく非合理な生き物だから

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/08/06 09:55 https://markezine.jp/article/detail/77345

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