顧客の関心や行動への解像度をぐっと向上させた、2種類の統合分析とは
MZ:実際に、「SynWA project」を活用してどのように統合分析を進めていったのでしょうか。
針原:配信に向けた示唆を得ることを目的に、まず2種類の分析を行いました。1つ目は、DHC様のLINE公式アカウントの友だちを対象としたペルソナ分析です。購買頻度の高いお客様・低いお客様、新規会員・休眠会員といった会員ステータス別の切り口に加え、化粧品・健康食品・ファッションなどの購買カテゴリー別にもユーザーを分類し、それぞれがどのような興味関心や行動特性を持つのかを分析しました。
この分析の特徴は、DHC様が保有する顧客データに、LINEヤフー社が保有する興味関心、購買意向、属性・ライフイベントなどのデータを掛け合わせることで、LINE公式アカウントの友だちに対する理解をより深められた点にあります。分析の結果、顧客ステータスや購買カテゴリーによって、興味関心の傾向に明確な違いがあることがわかりました。
また、利用頻度によっても異なる傾向が見られるなど、複数の切り口から分析することで、お客様の多面的な特徴を捉えることができました。DHC様のデータから「どのようなお客様なのか」を捉え、そこにLINEヤフー社のデータを組み合わせることで、「そのお客様が何に関心を持ち、どのような行動傾向を持つのか」まで立体的に把握できるようになったと考えています。これにより、より深い顧客理解につなげることができました。
電通のデータ・テクノロジーセンターで、LINEヤフー社をはじめとするプラットフォーム事業者のデータを活用した分析やソリューション開発を担当する。本取り組みではアナリストとして、DHC社の1stパーティデータとLINEヤフー社のデータを掛け合わせ、顧客理解の分析と機械学習モデルによるセグメント設計を担った。
針原:2つ目は、ジャーニー分析です。LINE公式アカウント経由で商品を購入したお客様を対象に、購買前後の検索行動を分析しました。その結果、購買直前には商品に関連する検索が増加する一方で、それ以前の段階では、情報収集や比較検討を目的とした幅広い検索行動が見られることがわかりました。
こうした購買に至るまでの情報探索の変化を捉えることで、お客様の検討段階に応じて、どのタイミングでどのような情報を届けるべきかを考えるうえでの示唆を得ることができました。
亀田:こうした切り口での分析は、これまで当社であまり行ってこなかったものでした。「この見方をすればこういう行動が見えるのか」と非常に勉強になりましたし、大きな可能性を感じる試みでしたね。
反応率が改善!「LINEアカウント未連携層」から連携意向が高い層を絞り込み、効率的にアプローチ
MZ:これらの分析結果を、どのように配信設計や施策へ落とし込んだのでしょうか。
亀田:大きく2つのテーマで配信設計を行いました。1つ目のテーマは「アカウント連携の促進」です。分析によってアカウント連携に至りやすいユーザー像を抽出し、そのセグメントに重点的に訴求しました。従来は幅広い未連携層に同じメッセージを配信していましたが、連携意向が高い層に絞り込むことで、より効率的なアプローチができるようになりました。
針原:具体的には、DHC様の1stパーティデータを活用し、アカウント連携済みのお客様や一定以上の購買金額・回数に達したお客様を教師データとして予測モデルを構築し、LINEヤフー社が保有する興味関心データや検索行動データを説明変数に活用しています。
構築したモデルを用いて、LINE公式アカウントでメッセージ配信が可能なユーザー群をスコアリングすることで、「今後アカウント連携する可能性が高いユーザー」や「将来的に購買につながる可能性が高いユーザー」を抽出。アカウント連携が完了したお客様の人物像を様々なデータから推論し、未連携群から連携確率を付与、対象ユーザーへ配信していく形です。
亀田:そして2つ目のテーマは「購買金額の向上」です。同じ商品カテゴリーを購入したお客様でも、買い物の際に重視するポイントは一人ひとり異なります。そこで分析から得たインサイトをもとに、セグメントごとにメッセージやクリエイティブを最適化しました。お悩みに合わせて対象に刺さるクリエイティブへ落とし込む設計で、その制作まで電通デジタル様に入っていただいています。
これらの取り組みの結果として、従来の一斉配信と比べて配信効率や反応率が改善し、お客様視点でも不要な情報が減る、より価値の高いコミュニケーションにつながっています。

