SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Autumn

BtoB Synergy FORUM 2026

スコアではなく「顧客のコンテクスト」を渡す、ミスミとLayerXが進める次世代スコアリング戦略

高精度のAI予測が現場で使われないのはなぜ?

 しかし、高精度の予測モデルが完成しても、すぐに現場で活用されたわけではなかった。

 営業やマーケティング部門へ事前説明を行ったところ、現場からは「スコアが高くても確定ではないなら意味があるのか」「スコアが高いならフォローは不要ではないか」「スコアが高い理由がわからないと電話できない」といった反応が出たという。

 単純に「このリードは85点」という高いスコアだけを提示しても、背景がブラックボックス化しているため現場は動けないと判断したのだ。現場でスコアリングを機能させるために、「AIによる出力をヒトが変換すること」が非常に重要だと天間氏は語り、実施した3つのアプローチを紹介した。

  1. 理由の言語化:確率の数値をそのまま渡すのではなく、「先週からヘルプ閲覧が急増しているため、検討が深まっているサインだろう」と、特徴量の意味を人間が理解できる言葉に翻訳して伝える。
  2. 自律性の担保:スコアを絶対的な架電指示とせず、「優先順位をつけるための武器」として提示する。「スコアを見て自分でどう動くか決める」という余地を残すことで、営業担当者の自己効力感やモチベーションを保つ設計にした。
  3. 期待値のコントロール:高スコア=必ず購買されるのではなく、「今が最もアプローチが効く確率が高い瞬間である」という共通認識を作った。

 これらの工夫により、AIが弾き出したスコアは現場で実際に活用されるものとなった。

 ミスミのリアルな実情と現場を巻き込む工夫に対し、安藤氏は「すぐに架電しろと指示するのではなく、営業担当者が考える余地を残した上で展開していく点が素晴らしい」と語る。そして、「高スコアならフォローは要らないのではないか?」という声への対応をたずねた。

 スコアが高い顧客は課題を抱えて購入意欲が高い状態。言い換えれば、競合する企業で購入するリスクが非常に高い。だからこそ、「スコアが高い顧客ほど先にアプローチする必要がある」と伝えたと天間氏は振り返る。実際、高スコア顧客に対してメール配信やバナー表示によるフォローを実施した場合と未実施の場合を比べると、CVRに約3〜5倍の差が出るデータも得られているという。

複雑化する購買プロセス、「なぜ今、何を話すか」を可視化せよ

 続いてLayerXの北川氏が取り組みを紹介した。LayerXは、稟議、経費精算、法人カード、請求書受取、請求書発行、勤怠管理、給与計算などのバックオフィス業務を横断してAIで自動化するサービス「バクラク」などを展開する企業だ。

 北川氏は、現在のBtoBにおける購買プロセスの複雑化を指摘する。「バクラク」のようなバックオフィス向けのサービスでは、現場、経理、情報システム部門、経営層など複数のバイヤーが関与し、それぞれが異なる課題を抱えている。さらに、採用増加や組織変更、決算期の接近など、会社の状況や外部環境によってニーズは常に変化し続けている。

 「『ホワイトペーパーをダウンロードしたから確度が高い』といった、単純な行動スコアの方程式はもはや存在しません」(北川氏)

LayerXの北川峻氏の写真です
株式会社LayerX バクラク事業部 グロースマーケティング部 CRMグループ マネージャー 北川 峻氏

 過去のアクションの累積でスコアを加算する従来型のモデルでは、MA上の行動だけを追いかけてしまい、顧客企業で起きている「組織変化」や「検討背景」「過去の課題」を捉えきれない。結果として、営業は「なぜ今、何を話すか」がわからないまま架電することになり、商談につながらず、マーケティング部門への信頼が低下していくという悪循環に陥る。

 そこでLayerXが目指したのは、スコアリングを「営業が使える会話の根拠に翻訳する」ことだった。営業に渡す際には、以下の3つの観点を言語化することが必須だと北川氏は言う。

  1. Why now:採用が動いている、比較サイト経由の訪問があるなど、今顧客の環境に起きている変化。
  2. Why me:過去商談での課題や、競合との差分、自社が解決できる強み。
  3. What to say:スコアの高さではなく、月次決算の早期化など、現場の課題解決に向けた具体的な対話の糸口。

次のページ
商談獲得率1.7倍を実現! 4つのシグナル検知

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
BtoB Synergy FORUM 2026連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/08/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77277

Special Contents

PR

Job Board

PR

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング