ジェイアイエヌは、5月13日、日本科学未来館においてJINS 次世代戦略商品発表会を開催した。その会場において、三点式眼電位センサーを搭載したセンシング・アイウェア「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」が発表された。同商品は2015年春に発売する予定。重量は約36g、連続使用時間は約8時間(充電1時間)、価格は未定。
同社は2001年にアイウェア関連事業に進出。その後、一律低価格で商品を提供するなど、価格障壁などの慣習を覆してきた。そして2011年9月に発売したパソコン使用時の目の疲れを軽減する商品「JINS PC」により、これまで眼鏡を必要としなかった新たな顧客層を開拓し、市場を拡大した。
そして今回新たに発表した「JINS MEME」は、人間の五感の約9割を占める「眼(視覚)」が持つ膨大な情報量に着目し、眼電位センシング技術を活用。常に脳と連動している眼の動きを継続的にとらえることで、人間個人のより深度及び精度の高いデ-タである「Deep Data(ディープ・データ)」の取得が可能に。加えてアイウェアの特性を活かした「三点式眼電位センサー」(特許出願中)により、鼻パッドと眉間部分から検出される眼電位から八方向の視線移動とまばたきのリアルタイム測定を実現した。
東北大学の川島隆太教授は、「この度開発した三点式眼電位センサーにより、JINS MEMEではリアルタイムセンシングを実現した。あえて身に付ける装置でセンシングするのではなく、私たちが生活の中で必要とするものの中にセンサーが入っているということが、これからビッグデータやディープデータを使っていく中で、リアルタイムセンシングを成功させる唯一無二の秘訣だろう。だからこそ、同商品はとても大きな可能性を秘めている」と語った。
加えて、慶應義塾大学大学院の稲見昌彦先生は、「今後のウェアラブルコンピューティングにおけるイノベーションのキーワードは、人機一体。人の無意識の行動を把握して、機械が人に寄り添ってサポートする。それがウェアラブルというトレンドの本質だろう」と指摘した。
「JINS MEME」で取得したリアルタイムデータは、スマートフォンの専用アプリケーションを通じて、ユーザーは「オフィス」「ドライブ」「フィットネス」といったシーンで活用できるようになる。また、目の動きだけでスマートフォンを操作することも可能だ。そして同商品の様々な可能性を考慮し、2014年秋を目途にAPIを開発者向けに公開する。
「眼から取得できる様々なデータは、我々の社会や生活を豊かにする可能性を秘めている。また、2015年春に発売の本商品は、BtoCだけでなく、BtoBとしての大きなポテンシャルを秘めている。価格については現時点で明示することはできないが、弊社が作る商品なので、消費者の方々に手に届く価格で提供できれば」と同社 代表取締役社長 田中仁氏は語った。
【関連記事】
・Amazon.com、ウェアラブルデバイス専門ストアを開設
・ウェアラブル端末向けの広告市場、今後数年の見通し【米シスコシステムズ調査】
・博報堂DYmpとテレパシー、ウェアラブルデバイスを活用したコミュニケーション研究開発
・ウェアラブル時代のSNS!ロックオン、位置情報と連動した音声アプリ「OCOLO」
・JINS、コラボモデル専用オンラインショップ「JINSコラボチャネル」開設