クライアントへスマホ対応を啓発
イーエムネットジャパンは2016年10月に、ヤフーが認定する正規代理店の三つ星に昇格。トップクラスの運用力を有す。同社の加藤氏は、営業本部を統括。クライアントのニーズを汲み取りながら広告展開を行っている。一方、見谷氏は、メディア窓口を担当し、LPやバナー制作などにも携わっている。
ヤフーの龍氏は、エリア・オンライン営業本部の東日本営業部で部長を務め、パートナー企業への広告の販売促進を取りまとめている。龍氏と同じ部署に所属する木村氏は、同営業部の中でも、東京に本社を置く広告代理店へのフォローアップを担当している。
昨今、ユーザーのメインデバイスはPCからスマートフォン(以下、スマホ)へ移行が進み、Webサイトのアクセス比率もスマホ主体に傾きつつある。しかし、「普及のスピードについていけていないクライアントも多い」と加藤氏は語る。
「対応を素早く進めている企業も出てきてはいますが、普及率に比べるとまだまだの印象です。この状況に対し当社は、広告におけるスマホ対応をクライアント様に啓発することをミッションに掲げています。例えば、検索という行為にも同様の変化が起きていることをふまえ、検索連動型広告などをスマホに最適化したプランニングで提案しています」(加藤氏)
「アクセス比率だけではなく、コンバージョンもスマホ中心になってきています。ユーザーがスマホでアクションするハードルが下がってきていることが大きな要因になっています。今後はWebサイトを中心に、情報の閲覧環境をスマホ仕様に整えることも大切になってくると思います」(見谷氏)
スマートフォンの浸透で求められる「リアルタイム性」
一方、ヤフーもスマホ広告の売上高は年々伸び続け、2016年度第2四半期決算では同社広告売上高の約半分まで伸びてきているという。PC全盛時代から広告事業を展開してきた同社だが、デバイスシフトの影響を大きく受けているようだ。
「当社もスマホアプリを展開し、ユーザーにとっては、当社が提供するサービスとの距離がより身近になりました。現在は、当社公式アプリにおけるYahoo! JAPAN IDのログイン率の引き上げを目指し様々な取り組みを行っています」(龍氏)
「スマホが浸透したことで、位置情報なども精度高く取得できるようになりました。そのため、ユーザーのニーズに合った、クライアントの情報や商品をより的確に提案できるようになっています」(木村氏)
このヤフーの変化に対し、イーエムネットの加藤氏はクライアントへの提案の幅が広がると意欲を見せる。
「リアルタイム性が高まると、広告を提案する企画の幅も広がります。例えば、PC主体の時代では、エステや居酒屋などに関する情報を家に帰ってから検索していたのが、スマホならその場で調べられる。そのタイミングやニーズを取りこぼさない広告の提案が重要になってくると意識しています」(加藤氏)