マルチリターゲティングの実装や運用、予算配分のヒント
マルチリターゲティングは、複数のリターゲター(リターゲティング広告を専門に扱う広告配信プラットフォームやプロバイダー)を組み合わせることで、広告効果を最大化する戦略です。本連載の第2回と第3回では、この手法のメリットやよく寄せられる疑問にお答えしましたが、今回は、マルチリターゲティングの実装や運用、予算配分などに関するヒントをお伝えします。
リターゲティングは短期的な目標に関連付けられることが多いものの、実際には企業の業績向上や売上増加、さらにロイヤルカスタマーの基盤構築に貢献する中期的なマーケティング戦略としても機能します。この手法は、ユーザーにブランドを印象付け、再訪や購入を促す効果があります。マルチリターゲティングキャンペーンの実行は難しい側面もありますが、効果的な方法が存在します。
さらに、予算管理方法についても解説します。限られた予算内で効果を最大化する「クローズド・バジェット」アプローチと、販売拡大とROIの確保を両立させる「オープン・バジェット」アプローチの違いについて触れ、それぞれのマーケティング目標に適した予算管理方法を選択するための知見を共有します。
マルチリターゲティングの基本戦略とは?
マルチリターゲティングでは、複数のリターゲティングプロバイダーの特性を活かし、より良い結果を目指します。その基本的な戦略について説明します。
まず、信頼性の高い結果を得るためには、各プロバイダーを同一の指標や設定で比較することが重要です。公平な比較を行うために、全プロバイダーを長期間同時に使用し、十分なデータを収集して分析します。さらに、予算やキャンペーン目標、ユーザーセグメントなどの条件を統一することで、より正確なパフォーマンスの比較が可能となります。
各リターゲティングプロバイダーは、各種データを確認できる管理画面を提供していますが、Google Analyticsなどの外部分析ツールを利用してコストを比較することが大切です。これは、プロバイダーごとのコンバージョン定義やメトリクスの違いがあり、直接的な比較が難しいためです。外部ツールを使用することで、各プロバイダーのROI(投資対効果)を正しく把握し、効率の良いプロバイダーの要因を調査し、効果が低いプロバイダーのほうに新たな戦略を展開するなどの検討ができます。
連載の第3回では、ラストクリックアトリビューションモデルについても説明しました。アトリビューションとは、顧客がコンバージョンに至るまでの各マーケティング接点の貢献度を評価し、その成果を特定のチャネルに帰属させるものです。
ラストクリックアトリビューションモデルは、トラフィックソースの混乱を避け、各コンバージョンが一度だけ報告されるようにするために用いられます。特に、マルチリターゲティングキャンペーンでは複数のプロバイダーが関与するため、このモデルが重要です。
たとえば、ユーザーが広告を見てGoogle検索を経由し、最終的に別のプロバイダーの広告をクリックしてコンバージョンした場合、最後にクリックされた広告に対してのみコンバージョンが記録されます。これにより、同じトランザクションに対して複数のコンバージョンが記録されるのを防げます。
このように、適切な分析指標・ツール・アトリビューションモデルを活用することで、より効果的なマルチリターゲティング戦略を構築できるようになります。