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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

MarkeZine Day 2025 Kansai

「想定どおりにいかない」を前提に売上目標を達成し続ける 丸亀製麺独自のロジカルなアプローチとは

 2024年度(2025年3月期)決算で、売上収益・事業利益ともに過去最高を更新した丸亀製麺。持続的な成長の秘訣は「自社ブランドの強みの磨き方」と「売上目標を達成する戦略・戦術の立て方」にあるようです。「MarkeZine Day 2025 Kansai」には、同社のマーケティング本部長を務める南雲克明氏が登壇。競合他社との同質化を避け、生活者のインサイトから導いた自社ブランドの強みを軸に、展開する戦略・戦術について語りました。加えて、毎月の目標数字を確実に達成するための戦略・戦術立案メソッドも紹介。本稿ではその内容をレポートします。

丸亀製麺が考える2種類の“感動”

 「食の感動で、この星を満たせ」というスローガンの下、感動体験の創造をミッションの中核に据えている丸亀製麺。あらゆる意思決定において“感動”が最優先事項に設定されている。「常識や合理性の範囲内では真の感動は生まれにくい」「一見非合理に見える取り組みの先にこそ、他社が創出できない独自の市場と感動が存在する」と語るのは、同社のマーケティング部長を務める南雲克明氏だ。

トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長 丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長 南雲克明氏
トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長
丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長 南雲克明氏

 同社が考える感動は2種類ある。第一は「自ら仕掛けにいく感動」だ。店舗づくりや空間設計、商品開発など、顧客に能動的に働きかける要素である。第二は「つながりから生まれる感動」で、人と人とのつながりから生まれる情緒的な要素である。この二つの掛け算により、感動創造の拡大を図っているのだ。

「『五感への訴求』と『エンターテイメント性 驚き・ワクワク』そして『人の力』を感動の重要要素と捉えています」(南雲氏)

 丸亀製麺では次の五つの戦略的アプローチを採用している。「本能の探求」「インサイトの発掘」「パーセプション形成と衝動づくり」「内発的動機を高める」「ビルディングブロックづくり」の五つだ。一つずつ見ていこう。

インサイトは調査結果に表れない

1.本能の探求

 本能は不変であり、最も強力な欲求である。「できる限り本能に近いところにアプローチすることが望ましい」と南雲氏。丸亀製麺では、五感を本能にアプローチするための入り口・スイッチと位置づけているそうだ。特に視覚は「情報の大部分を占める、最も重要な要素」だという。うどんから上る湯気や、グツグツと湯が煮えたぎる様子を見せながら、視覚を通じて衝動をかき立て、本能に近い領域を刺激している。

「五感の刺激は感情領域、さらにその奥の記憶領域とつながっています。記憶を呼び起こすためには五感を刺激することが有効です。これによって衝動と興奮状態を創出するマーケティング戦略を実現しています」(南雲氏)

2.インサイトの発掘

 丸亀製麺ではインサイトを「消費者が今まで気づいていなかった事実や潜在意識/深層心理」と定義している。無意識に感じていたが、人から言われて初めて「そうそう!」と顕在化するため、調査結果やデータの表面には表れない。

 インサイトを発掘するために、丸亀製麺では三つのアプローチをとっている。

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予定調和は消費者のワクワク感を削ぐ

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/18 07:00 https://markezine.jp/article/detail/49261

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