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MarkeZine Day 2025 Autumn

消費者の欲望を紐解くトレンド事例

1ヵ月の予約枠が10分で埋まる?!コーセーの最新技術に学ぶ「消費者が本当に求めているレコメンドの形」

 パーソナライズ、レコメンドが当たり前になった今、次の顧客体験はどう進化するのか? そこで生まれる新たなビジネスチャンスとは? 本記事では、コーセーが展開する最先端のビューティテック「Mixed Reality Makeup」の開発者 大石郁氏と、電通でビューティテックや生活者インサイトを研究している小野江理子氏が対談。最新のビューティテックが提供している「顧客体験」や生活者の「隠れたインサイト」、そしてテクノロジーで変わっていく「美の概念」などについて議論した内容を紹介する。

コーセーの最新ビューティテック「Mixed Reality Makeup」とは

小野:はじめに、大石さんの自己紹介からお願いできますか。

大石:私はコーセーに入社後、研究所に所属し、新製品・サービスの研究開発に従事してきました。現在は研究開発に加えて新規事業企画も担当しており、今日お話しする「Mixed Reality Makeup」では、プロジェクトマネージャーとして、技術構想からサービスへの実装、事業提案まで担当しています。

株式会社コーセー 経営企画部 新事業企画室 事業開発課 (兼)研究所 メイク製品研究室 大石郁氏
株式会社コーセー 経営企画部 新事業企画室 事業開発課 (兼)研究所 メイク製品研究室 大石郁氏

小野:私はビューティテックの最新動向や「未来の美容の在り方」を研究しており、何年も前から「Mixed Reality Makeup」をウォッチしてきました。2025年のCES以降、「Mixed Reality Makeup」への注目度はうなぎ上りで上昇しており、Maison KOSÉ銀座の体験枠も1ヵ月分の予約が10分程で満席になると聞いています。

 大石さんは、どのような考えで「Mixed Reality Makeup」の開発をスタートされたのですか?

電通 小野さん
株式会社電通 マーケティング・コンサルタント(電通未来事業創研・DENTSU DESIRE DESIGN) 小野江理子氏

大石:この開発を本格的にスタートしたのは、ちょうどコロナ禍に入ったくらいの頃です。多様性を尊重する時代の流れにも後押しされ、コロナ禍以降、「自分の個性」と真剣に向き合う方が増えたことが企画の背景にあります。私は元々「メイクアップ=一人ひとりの個性を引き出すツールである」と考えていたので、社会の潮流とニーズの高まりを受け、お客様の個性を引き出すお手伝いができるようなコンテンツをコーセーの技術で作りたい、と考えたのが始まりでした。

「Mixed Reality Makeup」とは

 高速追従プロジェクションマッピング技術で実現するメイクアップシミュレーションシステム。MR(Mixed Reality:複合現実)でメイクを自分の顔に投影し、様々なメイクアップを一瞬で試すことができる。

 顔の動きや表情の変化に滑らかにフィットしてメイクが追従するため、実際に肌に塗ったかのようなリアルなメイクを瞬時に体験できる点がポイント。アイシャドウ×リップ×チークの色や形状を全部組み合わせると、204万通り以上のメイクパターンが用意されている。

小野:「Mixed Reality Makeup」の開発は、技術開発と企画構想、どちらが先行だったのでしょうか?

大石:正確には、どちらも並行して進めていました。技術を進化させることと、お客様のニーズに基づきその技術を昇華させること、どちらも我々の仕事です。コーセーは長年“光”に着目したビューティの研究に力を入れていましたので、ニーズとシーズを繋ぎ合わせる形で「光にまつわる技術を活用してお客様の個性を引き出し、ワクワク体験を提供できるコンテンツを作れないだろうか」と考えていたわけです。

 そんな時、東京科学大学の渡辺義浩研究室が研究されていた高速追従プロジェクションマッピングを知り、共同研究を申し出ました。ビューティテックは新しさそのものにも価値があるので、開発もスピードが不可欠です。技術開発からサービス化まで実質2年ほどで進めてきました。

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企業目線の「最適解」ではなく、ユーザーが「自分軸で」選べる最適解を

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49356

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