花王の老舗ブランド「バブ」が捉える、消費者インサイトを取材
DDD:MarkeZineでスタートする連載「消費者の欲望を紐解くトレンド事例」、1回目は花王さんにお邪魔しました。最初に少しだけ我々とこの連載の紹介をさせてください。我々DDD(DENTSU DESIRE DESIGN)は、“欲望”をテーマに消費の研究をしている電通の横断組織です。世の中の様々な事象(トレンド)に隠された消費者の欲望を紐解き、それらをマーケティングに活かせるよう、体系的な理解に落とし込むべく調査研究をしております。
そんな中で、習い性なのか「消費者の欲望が新たなトレンドとなって表出している兆し」や「新たな形で消費者の欲望を満たすことになるであろう商品・サービス」を見つけると、好奇心や探求心がつい沸き起こってしまうんですね(笑)。「おや?」「これは……!」と思った商品やサービスの開発・マーケティングを担当されている方をお尋ねし、実際にどのような消費者インサイト・ニーズを捉えられているのかをお聞きしたい、ということでこの連載をスタートしました。
今回、私たちが注目したのが、花王の老舗ブランド「バブ」から昨年出た新商品『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない(以下、あふだけ)』です。とても斬新な商品ですよね。
『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない』
バブが若年層をターゲットに2023年9月に発売した新商品、通称『あふだけ』。従来の入浴剤は、疲労回復効果やリラックス効果を目的に使用されることが多かったが、『あふだけ』では、“なにもしない、を、あえてやる”という新しい発想の入浴体験を提案。情報過多な現代の若者の実態に着目し、入浴を通して“余白時間”を提供する商品設計となっている。
花王・江馬:ありがとうございます。元々、バブは非助成認知度が非常に高いブランドで、調査を実施しても約8割の方に「入浴剤といったらバブ」とお答えいただけるような状態です。ですが、「昔からあるブランド」「家族で使っていたので安心感がある」「実家のお風呂場にあった」という具合に、若年層において「自分向けのブランドである」というイメージが弱いという課題を抱えていました。そこで企画開発したのが、若年層をターゲットにした『あふだけ』です。
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