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消費者の欲望を紐解くトレンド事例

タイパの裏にある欲望とは――花王「バブ」が出したZ世代向けの商品、通称「あふだけ」の開発インサイト


 入浴剤市場で21年連続売上ナンバーワンを記録している、花王のマスターブランド「バブ」が2023年9月にZ世代をターゲットにした新商品「バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない」を発売した。「入浴中はあえて何もしない。入浴剤が溶けていく時の炭酸音、浴室に広がっていく香りにただ身をゆだねる」という没入入浴を推奨する同商品は、ストレスフルな現代を生きる若年層に「余白時間を持つこと」を提案している。否応なしに効率化が進んでいく時代、消費者が心の奥で持ち始めている欲望について考えてみたい。

花王の老舗ブランド「バブ」が捉える、消費者インサイトを取材

DDD:MarkeZineでスタートする連載「消費者の欲望を紐解くトレンド事例」、1回目は花王さんにお邪魔しました。最初に少しだけ我々とこの連載の紹介をさせてください。我々DDD(DENTSU DESIRE DESIGN)は、“欲望”をテーマに消費の研究をしている電通の横断組織です。世の中の様々な事象(トレンド)に隠された消費者の欲望を紐解き、それらをマーケティングに活かせるよう、体系的な理解に落とし込むべく調査研究をしております。

向かって右側が花王 ヘルス&ビューティーケア事業部門で「バブ」の開発・マーケティングを担当している皆さん、左側が電通のDDDメンバー
向かって右側が花王 ヘルス&ビューティーケア事業部門で「バブ」の開発・マーケティングを担当している皆さん、左側が電通のDDDメンバー

 そんな中で、習い性なのか「消費者の欲望が新たなトレンドとなって表出している兆し」や「新たな形で消費者の欲望を満たすことになるであろう商品・サービス」を見つけると、好奇心や探求心がつい沸き起こってしまうんですね(笑)。「おや?」「これは……!」と思った商品やサービスの開発・マーケティングを担当されている方をお尋ねし、実際にどのような消費者インサイト・ニーズを捉えられているのかをお聞きしたい、ということでこの連載をスタートしました。

 今回、私たちが注目したのが、花王の老舗ブランド「バブ」から昨年出た新商品『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない(以下、あふだけ)』です。とても斬新な商品ですよね。

(左) 『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない たくらみ』(右)『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない 出会い』
(左) 『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない たくらみ』
(右)『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない 出会い』

『バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない』

 バブが若年層をターゲットに2023年9月に発売した新商品、通称『あふだけ』。従来の入浴剤は、疲労回復効果やリラックス効果を目的に使用されることが多かったが、『あふだけ』では、“なにもしない、を、あえてやる”という新しい発想の入浴体験を提案。情報過多な現代の若者の実態に着目し、入浴を通して“余白時間”を提供する商品設計となっている。

花王・江馬:ありがとうございます。元々、バブは非助成認知度が非常に高いブランドで、調査を実施しても約8割の方に「入浴剤といったらバブ」とお答えいただけるような状態です。ですが、「昔からあるブランド」「家族で使っていたので安心感がある」「実家のお風呂場にあった」という具合に、若年層において「自分向けのブランドである」というイメージが弱いという課題を抱えていました。そこで企画開発したのが、若年層をターゲットにした『あふだけ』です。

江馬さん
花王株式会社 ヘルス&ビューティーケア事業部門 パーソナルヘルスケア事業部
 ホリスティックケアグループ シニアマーケター 江馬裕子氏

DDDによる連載『「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来一覧』もあわせてご覧ください

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/24 10:23 https://markezine.jp/article/detail/45063

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