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Cookieレス×AI時代の新標準─リターゲティング広告の実践ガイド

「プラットフォームの違いは?」「表示は過剰にならない?」リターゲティング広告のよくある疑問に答える

 Webサイトを訪れた潜在顧客に再度アプローチできる効果的な施策であり、多くの企業が採用するリターゲティング広告の実践法を解説する本連載。第4回となる本稿では、異なる複数のリターゲター(リターゲティング広告を専門に扱う広告配信プラットフォームやプロバイダー)を併用する「マルチリターゲティング」を実施する際によく寄せられる疑問について、調査結果や最新動向を交えて説明します。

マルチリターゲティングの疑問に答える

 マルチリターゲティングとは、複数のリターゲター(リターゲティング広告を専門に扱う広告配信プラットフォームやプロバイダー)を併用することで、広告効果を最大化する戦略です。本連載の第2回の記事では、この手法がいかに効果的であるかを解説しました。

 リターゲターにはそれぞれ採用しているテクノロジーが異なりますので、それぞれの特性や強みを組み合わせることで、広告のリーチを拡大しつつ、同時に広告の関連性を高めることができます。その結果、インプレッション数、クリック数、コンバージョン数の増加、そしてROAS(広告費用対効果)の向上が実現されることが明らかになっています。

 ただしその一方で、この手法に対する疑問や懸念の声も少なくありません。そこで、本連載の第4回となる今回は、マルチリターゲティングを実施する際によく寄せられる疑問について、調査結果や最新動向を交えて説明します。

リターゲティングの仕組みにはどんな違いがある?

 複数のリターゲターを使用する際、「各リターゲターにどのような違いがあるのか」と疑問に思う方は多いです。リターゲターを提供するプロバイダーは、独自のテクノロジーやアルゴリズムを持ち、それぞれが異なる方法でユーザーをターゲティングしています。

 たとえば、一般的な機械学習を活用した広告配信では、効果の高いクリエイティブやユーザーを学習させて配信効率の向上につなげています。一方、リターゲターの中にはディープラーニング技術を採用しているところもあります。

 ディープラーニングによるアルゴリズムは、他社の機械学習アルゴリズムとは異なる価値判断基準を持ち、ユーザー像を自動的に見直すなどの改善を行います。購買者の行動を分析して意思決定を行うことで、コンバージョンにつながる可能性の高いクリエイティブを自動生成できるのです。

 各リターゲターは独自のエンジンやロジックを持っているため、複数のリターゲターを採用することで、より幅広いユーザー層にアプローチできるようになります。実際、RTB Houseが実施した調査でも、マルチリターゲティングを採用したことにより、リーチできるユーザー数が37%以上増加したという調査結果があります。

 このように、異なる仕組みを組み合わせることで、これまで見逃していた価値の高いユーザーにもアプローチできるようになるのです。

マルチリターゲティングでもユーザーは重複しないのか?

 マルチリターゲティングの効果に関してよく寄せられる質問の1つに、「異なるアルゴリズムを使用していても、結局は同じユーザーを対象にしてしまうのではないか?」という疑問があります。確かに、重複による無駄は避けたいものです。

 RTB Houseが実施したマルチリターゲティングの調査によると、複数のリターゲターを使用した場合のクリックの重複率はおおよそ10~20%程度にとどまっています。この数字は、予想よりも低いと感じる方も多いかもしれません。

 確かに、10~20%の重複は存在します。これは、ユーザーの行動パターンや興味が似ている場合に、異なるアルゴリズムが同じユーザーを対象としてしまうケースがあるためです。しかし、この重複が必ずしもデメリットではないことも重要です。複数の広告に触れることで、ユーザーの購買意欲が高まる場合があるからです。

 注目すべきは、重複していない80%以上のユーザーです。これは、他のリターゲターではリーチできなかった新たな顧客層にアプローチできていることを示しています。この80%以上の新たなユーザー層から、他のリターゲターと同程度のコンバージョン率で成果が上がっているのです。

 マルチリターゲティングは、少ない割合の重複を許容しながらも、より広範な顧客層にアプローチできる効果的な戦略と言えるでしょう。

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広告の表示頻度が過剰になってしまうのでは?

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この記事の著者

奥内 鉄治(オクウチ テツジ)

RTB House Japan カントリーマネージャー
毎日新聞社、FOXインターナショナルチャンネルズ、Yahoo Inc.などを経て、2017年RTB Houseの日本事業に参画。20年以上デジタル広告の領域を歩む。2021年より現職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/13 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48669

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