広告が競合してしまうのでは?
「複数のリターゲターを利用することで成果が分散してしまうのではないか?」と、広告が競合し合う「カニバリゼーション」の懸念に関する質問もよく挙がります。カニバリゼーションとは、同じ商品やサービスに対して複数の広告が競合し、効果が相殺される現象を指します。
しかし、多くのプラットフォームでは、最も直近のクリックに基づいてコンバージョンが評価される「ラストクリックアトリビューション」というモデルを採用しているため、同じコンバージョンに対して二重の支払いが発生することはありません。
アトリビューションとは、顧客が商品購入やサービス登録といったコンバージョンに至るまでの過程で、広告やメール、SNSといった接点がどの程度効果を発揮したかを評価し、その成果を特定の広告やチャネルに帰属させることを指します。どの広告やメディアなどの接点が最もコンバージョンに貢献したかを明らかにするためものものです。
たとえば、ユーザーがある商品を購入するまでに、複数の広告をクリックしたり、メールを受け取ったり、SNSの投稿を見たりした場合、その中でどれが最も購買に影響を与えたかを特定することがアトリビューションの役割です。
アトリビューションには、いくつかのモデルがあります。前述の「ラストクリックアトリビューション」は、最後にクリックされた広告にすべての成果を帰属させる方法です。このほか、「ポストクリック」「ラストクリック」もあります。以下にその特徴をまとめました。
アトリビューション | 概要 |
---|---|
ファーストクリック | 最初にクリックされた広告を評価しますが、購買などの決定は通常最後の接触によることが多いため、このモデルの使用は減少しています。 |
ポストクリック | コンバージョン前にクリックされたすべての広告が同等に評価されるため、最も効果的な広告の特定が難しく、コスト増加の可能性もあります。 |
ラストクリック | コンバージョンに至る最後の広告に評価を与えるものです。直近のインタラクションが購買に最も影響するため、より実用的かつ公平です。 |
正しい知識を身につけて、効果的なマルチリターゲティングを
今回は、マルチリターゲティング広告に関する主要な疑問にお答えしました。各リターゲターの独自のアルゴリズムが、広告効果を高める可能性があることを説明しました。また、ユーザーの重複率が予想以上に低く、80%以上の新規ユーザーにアプローチできることがわかりました。さらに、広告の表示頻度や費用増加に関する懸念についても、リターゲターのビジネスモデルや広告オークションの仕組みから、それらが過剰な心配であることを解説しました。
次回は、「マルチリターゲティングを効果的に実装・運用する方法」について解説する予定です。マルチリターゲティング戦略を成功させるための基本ルールや、同じ条件で実施することの重要性をお伝えします。さらに、予算管理の観点から「クローズド・バジェット」と「オープン・バジェット」の2つのアプローチを比較し、それぞれの特徴や適用場面について紹介します。