個食化に応え市場席巻する「プチッと調味料」
──まず、今やエバラ食品を代表するブランドの一つとなった「プチッと」シリーズの概要と、現在の市場での状況についてお聞かせください。
湯川(エバラ食品):「プチッと」シリーズは、2013年に発売した「プチッと鍋」から始まりました。ポーション容器の中に1人前のお鍋の素が入っているのが特徴で、その後、うどん用調味料や、1人分から作れる中華調味料などへとラインアップを広げています。
湯川(エバラ食品):おかげさまで、「プチッと鍋」は個食鍋つゆ市場で、「プチッとうどん」は個食うどんつゆ市場で、それぞれナンバーワンのシェアを獲得しています。昨今の世帯人数の減少といった外部環境の変化にうまくマッチし、お客様から非常に大きな支持をいただいていると感じています。
──「黄金の味」に代表されるように、エバラ食品といえば「ファミリー向け商品」に強いというイメージがあります。「プチッと」シリーズは、事業の中でどのような位置づけになるのでしょうか。
湯川(エバラ食品):確かに、これまでは家族団らんのイメージが強い商品が中心でした。しかし、実は「黄金の味」(1978年発売)も、ホットプレートの普及とともに家庭で焼肉を楽しむ文化が広まるという、当時の生活者の変化に対応した商品だったのです。その時代時代の生活者に寄り添ったモノ作りをする、という精神は創業以来一貫しています。
「プチッと」シリーズも、1人前から大人数まで、現代の多様な食シーンに柔軟に対応できるという点で、その精神を受け継ぐ商品だと考えています。
個食だけでなくファミリーにも、鍋だけでなく炒め物にも
──「プチッと」シリーズの売上伸長の背景にある、マーケティング戦略について教えてください。どのような課題認識からスタートしたのでしょうか。
山田(エバラ食品):「プチッと鍋」を発売した当初は、個食鍋という市場自体がまだ黎明期でした。そのため、まずは「1プチッと1人前」というコンセプトを軸に、人数に合わせて使える利便性を訴求することから始めました。
山田(エバラ食品):その後、個食鍋つゆ市場が成長する中で、個食の訴求だけではファミリー層を取りこぼしてしまう、という次の課題が見えてきました。そこで、「1プチッと1人前、3プチッと3人前」というコピーを打ち出し、個食からファミリーまで、あらゆる世帯で使っていただける商品だと訴求する方向に舵を切りました。
──近年は、「夏の長期化」という課題にも対応されているそうですね。
山田(エバラ食品):以前は、8月下旬頃から「プチッと鍋」のCMを流し始めていましたが、近年は記録的な猛暑が続いており、以前のように鍋商戦が盛り上がらなくなっています。そこで、「まだまだこんなに暑いのに、グツグツ煮える鍋のCMを見ても食べたいと思えないだろう」と考え、「プチッと鍋」を使って「肉野菜炒め」が作れるという“汎用メニュー”を訴求するCMを2024年に制作。
これが功を奏し、同年9月の売上が非常に好調に推移。スムーズにシーズンインできました。鍋だけではない便利さを伝えていければ、夏や春などシーズン外でも商品を手に取っていただける。今後も、「汎用性」は重要なキーワードとなっていきそうです。
──プロモーションはテレビCMが中心ですか?
山田(エバラ食品):そうですね。特に流通の現場では、テレビCMの有無が商品の導入に影響することも多く、重要な役割を担っています。ただ、「プチッと」シリーズは、「黄金の味」の購買層(50~60代)と比べてやや若いので、デジタル施策にも力を入れています。特にYouTubeはリーチ単価の効率も良く、若年層へのアプローチを強化しています。

