生活者の購買行動が複雑化する中、従来の購買データのみに依存したCRMは限界を迎えつつある。ハウス食品グループ本社は、LINEミニアプリを活用した体験型CRM施策「HOUSE QUEST WORLD」を始動させ、「購買データの蓄積」ではなく「価値を生むデータへの集中」へと舵を切り、ゲーミフィケーションを通じてブランド想起の醸成を図っている。生活内の接触行動から顧客との関係を育て、「あれも、これも、ハウスだったんだ!」という気づきに転換する、同社の取り組みに迫る。
8割の「データで見えない生活者」へどうアプローチするか?ハウス食品グループの戦略
本記事では、MarkeZine編集部が主催するマーケティングアワード「BEST OF MARKETING AWARD 2026」において、データ&テクノロジー ドリブン部門にノミネートされたハウス食品グループ本社(以下、ハウス食品グループ)の事例を紹介する。
同取り組みのテーマは「LINEミニアプリを活用した、接触データ起点のCRM」。2025年6月から開始されたこのプロジェクトは、食品メーカーが長年抱えてきた課題である、“購買データでは捉えきれない顧客心理”への挑戦と位置付けられている。
右:ハウス食品グループ本社 コーポレートコミュニケーション本部 髙橋良輔氏
取り組みの背景として、ハウス食品グループが直面していた課題は二層に分かれていた。第一に、ビジネス構造上の制約だ。同社は卸・量販店を中心とした商流構造を持っており、各事業会社が個別に顧客データを保持してきたため、グループ全体での統合的な顧客把握が困難な状況にあった。
第二に、生活者との心理的距離である。カテゴリー別購入経路のデータでは、食品カテゴリーはオフライン比率が7割を超え、突出して高い。生活者の気分や店頭の棚前での直感で購買が決まる場面が多く、データからその前兆を読み取ることが困難となる。そのため、既にデータ上では把握できている上位2割のロイヤル層の影で、日常的に商品に触れていながらデータ化されない残り8割の“見えない生活者”との関係構築が、構造的課題となっていた。
ハウス食品グループはこの“見えなさ”を、購買データに限った問題としてではなく、LINE公式アカウント上で生じている日常的なアクションや接触も十分に捉えきれていない状態だと、拡張的に捉えていた。そこで同社は、このデータで捉えにくい“見えない生活者”に着目し、新たな打ち手を検討するに至った。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
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