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中山さん、コンマケのモヤモヤに答えをください。

実はターゲットのこと、そこまでわかってないけど問題ないですよね?【誤解だらけのコンテンツマーケ】

 BtoBマーケティングの現場では、「ターゲット理解が不十分なまま施策が進められる」ことが珍しくありませんが、「ターゲットのことを完全に把握していなくても施策は回せる」と考えてしまうのは危険です。本記事では、BtoBマーケターがターゲット理解を後回しにしてしまう要因やリスクを解説するとともに、「業界未経験のマーケターが、どのように自発的にターゲット理解を深め、実践的な施策につなげていくべきか」について具体的な方法を紹介します。

★前回はこちらから

なぜターゲット理解が甘いまま仕事が進んでしまうのか?

 ターゲット理解は、BtoBマーケティングの現場で軽視されがちです。特に異業界から転職したマーケターだと、「業界知識が不足している状態でペルソナを深く理解するのはハードルが高い」というのもわかります。ですが、「知らないからできない」ではなく、「知らないからこそ学び、価値を生み出す」という視点で、BtoBマーケティングの精度を高めていく意識が必要です。

 そもそも「誰に、何を届けるのか」を明確にすることがマーケティングの基本なのに、なぜターゲット理解が曖昧なまま、施策が回り続けてしまうのでしょう? 背景には、組織構造や業務の優先順位、BtoB特有の事情が関係しています。

1.短期的な成果へのプレッシャーがある

 BtoBマーケティングでは、短期的な成果を求めるプレッシャーが強く、上層部や営業部門から「とにかくリードを増やせ」「PDCAを回せ」と指示されるものです。その結果、ターゲットの理解を深めることのないまま、とりあえずコンテンツや広告を出す流れになりがちです。「まずはやってみよう」というスタンスは悪くないですが、ターゲットの理解が浅いままだと、的外れな施策が積み上がってしまいます。

2.「なんとなく知っているつもり」になっている

 ペルソナを細かく作るには手間がかかるため、「こんなものだろう」と大まかに理解して済ませてしまうことも多いです。過去の施策や営業資料をもとに「うちのターゲットは◯◯業界の△△職」とざっくり分類し、それだけでターゲットを把握したつもりになってしまうことがあります。

 しかし、BtoBの購買プロセスでは「決裁者」「現場の実務担当者」「経営層」など、関わる人物が多様で、単なる業界・職種の分類だけではターゲットを正しく把握できません。加えて、上司が異業種から転職してきたケースだと、ペルソナが曖昧なままでもツッコミが入らず、実際の顧客像とのズレに気づかないまま、的外れなコンテンツや施策が積み重なってしまいます。

3.営業やCSとの情報共有が不足している

 営業やCSと連携し、ナーチャリングを進めるのがBtoBマーケティングでは定石です。営業やCSは日々顧客と対話しているため、「どんな悩みを持っているのか」「なぜ競合ではなく自社を選んだのか?」といったリアルなインサイトを持っています。

 ところが、部門間の連携が弱いと、十分な情報共有ができないことがあります。マーケティング部門内で情報共有の仕組みが整っていないと、机上のターゲット像に基づいた施策になりがちです。

4.「BtoBだから」と思考停止してしまう

 BtoBマーケティングでは、「論理的」「理性的」であるべきという先入観が根強く、ターゲットの感情や行動心理が軽視されがちです。そのため、「スペックや機能を訴求すれば十分」と考えるケースもあります。

 しかし、BtoBでも「購入するのは人間」です。感情は意思決定に影響し、「この会社は信頼できるか?」「失敗したくない」「導入後に現場が混乱しないか?」といった不安が判断を左右します。こうした要素を無視したコンテンツでは、ターゲットの関心を引けず、成約につながりにくくなります。


 このように、BtoBではターゲット理解の優先度が低くなりがちですが、これが実務にどのような弊害を生むのでしょうか。次に、ターゲット理解が甘いことで生じるリスクについて考えてみます。

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ターゲット理解が甘いと、BtoBでも致命傷になりえる

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この記事の著者

中山 順司(ナカヤマ ジュンジ)

SEO・ソーシャル・動画の3領域でのコンテンツ企画と制作が得意な生粋のコンテンツクリエイター。ソフトバンク、楽天トラベル、Six Apart、freee、ファベルカンパニーを経て2024年に独立。コンテンツマーケティングを専業とし、オウンドメディアとYouTubeの設計 / 企画 / 執筆 / 編集 / 分析 / 改善 / SEO を幅広く行う。MarkeZine、Web担当者Forum、ねとらぼ、WorkshipMAGAZINE等で執筆しつつ、Content ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/04/01 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48797

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