社内での生成AI活用推進、汎用的な施策では進まなかった
ビジネスにおいて生成AIがもたらす価値は、複数ある。プロダクト・サービスにAIを組み込み、顧客価値の創造に繋げたり、コンプライアンス・セキュリティの領域でAIを取り入れ、リスク管理を強化したり。AI活用を主導する部署・部門やその規模も、企業や目的によって様々だろう。
リクルートの工藤氏が今回の講演で紹介したのは、社内の業務効率化・生産性向上を目的にした生成AIの活用推進プロジェクトだ。

社内で生成AIの活用を推進する時、一般的な課題として「プロンプトなど技術面での理解・スキル不足」「適切な活用シナリオの欠如」「投資とROIの不透明性」「データプライバシーとセキュリティの問題」「公平性・公正性の追求とガバナンス」「AIに対する組織内の抵抗」などが挙げられる。
リクルートの場合は、生成AIに関する指針・インフラ・ガイドライン・ルールが早い段階から整備されており、社員もAIに対する抵抗はほぼなかった。このことから、社内での生成AI活用推進にあたっては、「プロンプトなどの技術面での理解・スキル不足」「適切な活用シナリオの欠如」「投資とROIの不透明性」に取り組むことになったが、やはり最初から順風満帆には進まなかったそうだ。
「生成AIの活用を広めるべく、勉強会や社内外の事例共有なども行ってきました。しかしどれも“汎用的な内容”になってしまい、なかなかうまく進みませんでした」(工藤氏)
そこで工藤氏らは、社内での生成AI活用を進めるにあたり、プロセスを次の3段階に分けて取り組んだ。
1.組織の利用状況・実態(未経験者・試行者・活用者)を可視化
2.未経験者から試行者への育成
3.試行者から活用者への育成
はじめに、プロダクトデザイン室内に対して、普段の生成AI利用率や具体的な利用方法など、活用の実態を可視化するアンケートを実施した。どの程度生成AIが使われているか、社内の状況を世間の水準と比較するため、外部のアンケートを参考に作成したという。
アンケートの結果、2023年11月時点で日常利用者はごく少数にとどまり、多くが未経験者であることが判明した。まずは生成AIの試行者を増やすことを第一の目標に定めた。