実は、成績トップの営業スタッフと並み以下の営業スタッフの実力差はそんなに大きなものではないことも多い。トークだけ見れば、見分けがつかないこともあるほどだ。では決定的に違うのは何か。その差は「ダメ押し力」だ。どんなに良いプレゼンをしても、スムーズに商談を重ねても、最後に気を抜いて他社に奪い取られてしまえば、すべては水の泡になってしまう。トップ営業スタッフは最後の最後で「ダメ押し」をして契約を確実なものにしている。これができるかできないかが大きな分かれ道になるのだ。この秘訣について具体的な事例で紹介させてほしい。
9割方、契約は決まるだろう――というときこそ、注意!
私がハウスメーカーで営業をしていたときのこと。若いお客様と商談していた。このお客様とは話が合い、スムーズにコミュニケーションもとれる。そのうえ当社の鉄骨構造の建物を気に入ってくれたし、予算などの条件面もバッチリ合っていた。商談を進めるたびに「このお客様は間違いなく契約になるだろう」と思うようになった。
ある日の商談中、お客様が突然「木造の建物ってどうですか?」と聞いてきた。一般的にお客様は”木造好み”と”鉄骨好み”に分かれる。鉄骨のライバル社についての質問ならば本気で答えたが、木造に関する質問だったため深くは考えなかった。
「そうですね、良い部分もありますし悪い部分もあります」と軽く回答した。

この軽い回答では、建築に詳しくないお客様は納得できなかっただろう。本当は、もっと明確な「良し悪し」を理解したかったはず。その後、お客様は木造会社に話を聞きに行った。(私にとっては!)運が悪いことに、お客様はそこでトップ営業スタッフと出会ってしまう。結局、競合に逆転負けしたのだ。
「どうしてあのとき、しっかりと違いを説明なかったのか……」と死ぬほど後悔したものだ。
お客様からの質問に明確に回答し、しっかり差別化をはかる説明をしていたらどうだっただろうか? お客様の購買への気持ちを強固にできただろうし、お客様が他社に話を聞きに行くこともなくスムーズに契約となっただろう。この失敗商談で反省した私は商談の終盤で必ずダメを押すようになった。「9割型決まりだろう」と思うお客様こそ、手を抜かないようにしたのだ。
たとえばこのように話を展開させる。
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営業サポート・コンサルティング株式会社 代表取締役 菊原智明(キクハラトモアキ)
群馬県生まれ。大学卒業後営業の世界へ。「口ベタ」、「あがり症」に悩み、7年もの間クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごす。その後訪問から”営業レター”に手法を変えたことで4年連続トップの営業マンに。2006年に独立、講演活動、研修を行っている。2010年より関東学園大学にて学生に向け全国でも珍しい【営業の授業】を行い、社会出てからすぐに活躍できるための知識を伝えている。2025年までに83冊の本を出版。ベストセラー、海外で翻訳多数。
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