仕事で何かわからないことがあるとする。その場合、多くの人が「Google先生に聞いてみよう」と検索する。便利な世の中となり、たいていの情報は検索すれば、なにかしら出てくるものだ。わからないことを自分で調べて何とかする、というのは悪いことではない。しかし、コミュニケーションの観点で見ると、すべてをひとりで完結してしまう人は孤立してしまいがちというポイントがある。“人に相談する”ということは会社組織において大切なコミュニケーションになる。人付き合いが上手い人たちはGoogleに頼り過ぎず、先輩や上司を頼っている。情報化社会の新コミュニケーション術について紹介させてほしい。
「質問」というコミュニケーションが減るなかで……
仕事をしているときに「これは相談したほうが良さそう」と思うことがある。しかし、上司や先輩を見るとかなり忙しそうだ。相談したいと思いながらも「さすがに今は声をかけにくいなぁ……」と躊躇してしまう。結局はネット検索で何とかするしかなくなる。今はリモートワークも多く、出社していても接触を避けるために、近くで会話をすることもあまり良しとされていない。以前と比べて「会社の人たちと疎遠になった」と感じる人も多い。
ひと昔前の上司と言えば、マネージメントのみ行う“専マネ”が多かった。営業職で言えば、自分では契約を取らず部下の面倒を見ることに専念していた。そのため、こちらから何か質問しなくても、「この件は大丈夫だろうな」と上司のほうから常にチェックされたものだ。
しかし、今は自分でも売りながら部下を育てるというプレイングマネージャー、つまり“プレマネ”のケースが多くなっている。上司にもノルマがあり、毎月契約獲得しなければならない。これはとてもたいへんなこと。忙しく働いている上司には、「ちょっとわからないので教えてください」と気軽に声をかけにくいだろう。
私は営業研修のほかに、マネージャー研修をさせていただくことがある。その際、ひとりのマネージャーが「手がかかる部下のほうがかわいい」と意見を出したところ、ほかの人達も同意していた。調べが甘い状態で質問してくる部下に対して「ここに書いてあるだろう。しっかり調べろ」と文句も言いながらも、頼られる嬉しさを感じている。結果的にそのやりとりが、双方にとって良いコミュニケーションになるケースもあるというのだ。

また「自分で勝手に仕事を進める部下は話しかけにくく、距離が縮まない」という意見が数多く出ていた。 時間をとられなくて楽だが、関係は希薄になる。逆にいろいろと聞いてくる営業スタッフには「私が何とかしよう」という気持ちになる。それによって自尊心が満たされる場合もあるのかもしれないが、「質問」はお互いのコミュニケーションの架け橋になっているのだろう。
しかし、年々“わからないことを質問する”スタイルをとる若者は少なくなっている。うちの娘は高校生で完全にデジタルネイティブ世代。生まれたときから調べれば情報がすぐに手に入る環境で育った。わからないときは、「まずはネットで調べる」行動をとる。
20代、もしくは30代の前半の営業スタッフもそういう行動をとるはず。周りの人と会話をせず、スマホの画面を見ながら仕事をする姿を遠目で見た上司は寂しい気持ちになっているかもしれない。情報が手に入りやすくなったことで上司とのコミュニケーションが阻害されてしまう。これが情報化社会のいちばんの弊害なのかもしれない。
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営業サポート・コンサルティング株式会社 代表取締役 菊原智明(キクハラトモアキ)
群馬県生まれ。大学卒業後営業の世界へ。「口ベタ」、「あがり症」に悩み、7年もの間クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごす。その後訪問から”営業レター”に手法を変えたことで4年連続トップの営業マンに。2006年に独立、講演活動、研修を行っている。2010年より関東学園大学にて学生に向け全国でも珍しい【営業の授業】を行い、社会出てからすぐに活躍できるための知識を伝えている。2025年までに83冊の本を出版。ベストセラー、海外で翻訳多数。
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