深く見込み顧客とつながるための手法として注目を集める「インサイドセールス」。その後の商談化・契約の可能性を求め、ウェブサイトや問い合わせ経由で自社に関心を持っている見込み顧客とつながる手段として導入を進めるIT企業も増加しています。一方、日本の伝統的企業と言える富士通では、関心を持つ前の見込み顧客へ架電を行う「アウトバウンドコール」を中心としたインサイドセールスチームを組織化しています。同社が、「デジタルセールス」と呼ぶその組織はどのようにして立ち上がり、壁を乗り越え、成果を出してきたのでしょうか。第3回では、人材が増えつづける中で挑んだ現場イネーブルメントの詳細、「質」にこだわる同社の組織づくりの源泉に迫ります。
デジタルセールス専門のイネーブルメント組織
前回は2021年度に取り組んだ、内製化の取り組みについてお伝えしました。今回は2022年度に本格化したイネーブルメント(育成)の取り組みについて共有します。
2022年1月~2022年春ごろまでは、分科会のかたちで有志が集まり、育成について考えていました。富士通内の人材開発部に協力してもらったこともありましたが、新しい取り組みであるため、まずは自ら悩みに対処するための具体的施策を考えていくのが良いだろうと、2022年10月に正式にイネーブルメント専門のチームを立ち上げました。現在は6名体制で、オンボーディングをはじめとした育成施策を実行しています。
デジタルセールス、新人独り立ちまでのスケジュール
- 最初の1ヵ月:デジタルセールスにとって必要なスキルを得るためのオンボーディング期間。稼働に向けて最低限学ぶべき基礎知識とスキルを学ぶ
- 2~3ヵ月め:OJTを通して、実践の中でスキルを定着させていく
- 4ヵ月め以降:育成対象からの卒業判定を受けた人から自走へ。人によってはフォローが必要なケースもあり、ケースバイケースで対応していく
※2週間に一度マネージャー×イネーブルメントチームのミーティングで、メンバーの育成状況をシェアする
ハイパフォーマーは「生産性」にこだわる
最初に行ったのはハイパフォーマーやマネージャーへのインタビューです。スキルを言語化・型化して、もともとあったスキルマップをより具体的にしていきました。
ハイパフォーマーの工夫はどれも素晴らしいものでしたが、中でも印象的だったのは、「生産性」への強いこだわり。ブックマークやショートカットキーの使い方、オペレーション周りの工夫を突き詰めて、架電の時間をきちんと捻出していました。行動パターン自体はさまざまで、まとめて事前準備をする人もいれば、都度準備をして架電する人も。必要な行動数と架電に効果的な時間帯から逆算し、セルフマネジメントを行っていることは共通していたため、「セルフマネジメント研修」などのコンテンツも用意しました。
実際、富士通のデジタルセールスはとにかく扱う商材が多いため、お客様の情報はもちろん、自社商材のキャッチアップのためにも時間が必要です。お客様と会話ができるコアタイム以外で記録や調査を行うことが、成果に直結するとも言えます。また、1日20件以上架電を行うハイパフォーマーは「架電への恐怖心」をうまく乗り越えています。「乗り越え方を教えてほしい!」と組織内のチャットが盛り上がるシーンもよくあります。
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- この記事の著者
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富士通株式会社 CRO室 武居ありす(タケイ アリス)
富士通株式会社 CRO室 Deals Creation マネージャー。新卒で人材系企業に入社し、IT業界を担当して関心を持つ。2008年にIT業界へ転身し、ソリューションのフィールド営業とインサイドセールスを経験。2018年にSAPジャパンに入社後、製造業のフィールド営業を経て自ら希望してインサイドセールスを経験。...
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宮田華江(編集部)(ミヤタハナエ)
立教大学社会学部メディア社会学科卒業。2016年翔泳社に入社、MarkeZine・ECzineなどの広告営業を担当。2019年1月に営業組織をテクノロジーで支援するウェブマガジン「SalesZine」を立ち上げる。2020年4月、SalesZine編集長就任。ビジネスメディアの統合を担い、2026年...
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