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おさえておきたいEC・通販先進企業

通販事業の再建を図る千趣会の取り組みや動向をわかりやすく解説

EC研究所[著]


 「ベルメゾンネット」を手がける株式会社千趣会は、一時は需要衰退に伴いその存在が危ぶまれていたものの、事業の見直しや通販強化といった改革を通じて、成長基盤の再編に取り組んできました。今回は、千趣会の再建プロセスや、近年の通販事業の動向について解説します。

 株式会社千趣会は、大手通販サービス「ベルメゾン」を手がけてきた国内最大級のECサービス企業です。通販市場の競争激化によって同社の存在意義が問われた経験を経て、事業の見直しや通販サービスの改革に取り組み、新しいビジネスのあり方を模索しています。

 この記事では、そんな千趣会の近年の動向やビジネス改革のアプローチについて解説します。

株式会社千趣会の企業情報

 まずは、株式会社千趣会の基本情報や事業内容を確認しましょう。

株式会社千趣会の企業情報

 以下では、株式会社千趣会の企業情報を表にまとめています。

社名 株式会社千趣会
本社所在地 大阪府大阪市北区同心1-6-23
設立年月 1955年11月9日
代表者名 梶原 健司
株式公開 東証プライム市場上場
資本金 1億円
おもなグループ会社

千趣ロジスコ株式会社

株式会社ベルメゾンロジスコ

株式会社千趣会チャイルドケア など

株式会社千趣会の事業内容

 通販事業で有名な株式会社千趣会ですが、同社のおもな事業としては以下の3事業が挙げられます。

  • 通販事業
  • 法人事業
  • 保険事業

 通販事業は「ベルメゾン」を主軸とした会員向けのカタログ通販や、「ベルメゾンネット」のようなEC事業を指します。売上構成比の約87.9%を占めており、花の通販「イイハナ」を展開するなど、バリエーション豊かな商品を扱っているのが特徴です。

 法人事業では、顧客企業の成長を目指す総合コンサルティングサービスを展開しています。顧客情報の活用に向けたソリューションの提案、通販システム構築、コールセンター効率化などの同社サービスを組み合わせることによって、事業のスリム化や新規ビジネス創出をサポートしています。

 保険事業は、おもにベルメゾン会員に向けた保険商品の提供やサポートを行う事業です。マネーセミナー開催やベルメゾン認定のファイナンシャルプランナーとの面談なども提供し、顧客の生活をより良いものにするためのサービスを届けています。

 その他の事業として、2013年に株式会社千趣会チャイルドケアを設立し、保育事業や学童事業を行っています。千趣会は創業以来、常に女性のことを考え、女性に寄り添って活動しており、「ウーマン スマイル カンパニー」を企業ビジョンに掲げています。

株式会社千趣会の沿革

 以下の表は、株式会社千趣会の沿革を簡単にまとめたものです。

年 沿革
1954年 千趣会の前身「味楽会」発足
1955年 株式会社千趣会設立
1976年 カタログ「ベルメゾン」創刊
1990年

東京・大阪証券取引所第一部上場

千趣会コールセンター株式会社設立

2000年

オンラインショッピングサイト「ベルメゾンネット」オープン

千趣会コールセンター株式会社設立

2003年 株式会社千趣会イイハナ設立
2006年 千趣会マーケティングサポート株式会社設立
2008年

大阪・東京本社の2本社制に移行

株式会社ディアーズ・ブレイン子会社化

2013年

株式会社千趣会チャイルドケア設立

保育所運営事業に関与

2015年

株式会社プラネットワーク 子会社化

ワタベウェディング株式会社に出資、持分法適用関連会社化

2021年

ワタベウェディング株式会社は第三者割当増資に伴い、持分法適用関連会社の範囲から除外

株式会社ディアーズ・ブレイン及び株式会社プラネットワークの全株式を譲渡したことに伴い、連結の範囲から除外

 元々こけしの頒布販売を行っていた株式会社千趣会ですが、ベルメゾンの創刊以降は、本格的に女性向けの通販事業展開を進めていきました。通販事業における強みを活かし、ECサイトの開設も2000年と非常に早い段階で実施するなど、高い先見性を備えた企業といえるでしょう。

 その後もコールセンター会社や花専門の通販会社、マーケティングサポート会社など自社ノウハウを活かした事業を子会社として展開し、2013年以降は保育所運営にも着手しました。2015年にはウェディング事業にも参画しましたが、2021年には株式を全て譲渡しています。

株式会社千趣会の通販事業強化に向けた改革について

 さまざまな競合の登場にともない、独自の存在感を示すことが課題となった株式会社千趣会は、通販事業強化に向けた改革プロジェクトを始動しました。

 通信販売事業を中核とした“独自の共創モデル”への変革に向け、同社では以下の4つの取り組みを実施しています。

会員基盤の再構築

 同社がまず取り組んだのは、会員基盤の再構築です。

 具体的には、復活会員の継続購入促進や会員の定着化、利用頻度と受注単価の向上を目指して施策を切り替えました。

 そのほかにも、通販需要の高まりに合わせた生活提案力の強化のために、SEO対策による顧客との接点拡大やカタログ・EC事業両者への注力に取り組んでいます。

商品力・提案力の強化

 顧客の関心を継続的につかむうえでは、商品力や提案力の強化も欠かせません。同社では、商品購入のチャネルが広がった昨今の事情を踏まえ、今後はオリジナル商品の開発と販売に力を入れ、マーケティング戦略の強化を進めています。

 販売においてはジャンル間のクロス購入を促すべく、横断型の企画商品を投入したり、こだわりの看板商品を強くアピールしたりすることで、高水準の売上高を実現しています。

オペレーション改革

 オペレーションの改革も、すでに同社で大きな成果を挙げている重点的な取り組みの一つです。

 商品原価率やプロパー消化率、値引き率、残品率などのKPIを正しく運用管理することで、売上総利益率は前年比1.2ポイント程度の改善に成功し、スマートな経営改善を実現しています。この背景には、バーゲンの時期や割引率の適正化、在庫償却の削減を達成できていることが挙げられます。

ブライダル事業の再編

 沿革で前述したとおり、同社はブライダル需要の減退に伴って、2021年にブライダル事業からの撤退を完了しています。

 今後は直接の運営ではなく間接的な関係を持つことに限定し、コア事業である通販事業における顧客との関係構築や事業間のシナジー強化に努めることを発表しています。

株式会社千趣会の近年の大きな取り組み

 大きな事業改革を実現した株式会社千趣会は、ただ事業を見直すだけでなく、新しいプロジェクトにも積極的に取り組んでいます。ここでは、近年の同社の大きな取り組みについて見ていきましょう。

住宅テック企業と共同開発契約を締結

 2022年8月、株式会社千趣会は住宅テック企業である株式会社LibWorkとの共同開発契約を結んだことを発表しました。新たな事業機会の創出や、互いの企業価値向上を目指した契約で幅広く協働することにより、サステナブル社会の実現に貢献すること目指しています。

 具体的には、カタログ通販のパイオニアとして数多くの女性会員を獲得している千趣会のデータベースを活かし、戸建て住宅販売における新たな販売チャネルの開拓に挑戦するとしています。

 そのほかにも、LibWorkの住宅事業におけるノウハウを活かしつつ、千趣会のブランド「BELLE MAISON DAYS(ベルメゾンデイズ)」とコラボレーションすることで、新商品を展開する予定です。

EC用商品写真を撮影するWEBサービス「撮影名人」がリリース

 株式会社千趣会の子会社である株式会社ベルメゾンロジスコは、小中規模事業者向けEC用商品写真を撮影するWEBサービス「撮影名人」のリリースを発表しました。

 中小企業向けを想定している同サービスでは、EC事業者が追われていた「商品写真の撮影」を、オンライン上での簡単操作と交渉不要の明瞭な会計でアウトソーシングできます。

 同サービスの提供を通じて、利用事業者の作業労働負担やECサイトのクオリティ向上、EC運営時間の節約を支援しています。

JR東日本との資本提携を発表

 株式会社千趣会は以下4つのテーマを掲げ、2020年9月にJR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)と資本提携を実施しました。

  • JR東日本の駅ビルや駅ナカへのベルメゾン店舗出店
  • JR東日本ECモール「JRE MALL」へのベルメゾン出店
  • 両社ポイントプログラムの連携
  • ベルメゾン公式サイトにおけるJRE CARD(ビューカード)決済特典

 両社がこれまで培ってきた商品開発やマーケティングなどのノウハウを活かし、相互送客の実現やネット通販事業の拡大などを進めていく予定です。

目を通しておきたい株式会社千趣会のトピックス

 その他、株式会社千趣会の気になるトピックスをまとめています。

2023年6月1日:家族みんなで「ありがとう」のギフト選び 内祝い専門サイト「TSUNAGU(つなぐ)」6月5日オープン!

 千趣会は、内祝い専門サイト「TSUNAGU(つなぐ)」を、2023年6月5日(月)にオープンした。

2023年2月10日:千趣会グループと東京都 清瀬市が子育て支援に関する連携協定を締結

千趣会と千趣会の100%子会社である千趣会チャイルドケアは、東京都清瀬市と子育て支援に関する連携協定を締結した。

2022年11月1日:株式会社オークネットとの共創 お客様の大事に使った「モノ」を気持ちと一緒に次へつなぎ、まわす「kimawari」(キマワリ)が11月1日より本格稼働

千趣会は、オークネットとの共創事業として2021年7月に立ち上げテスト運用を行っていた衣料品を中心とした宅配買取サービスを、2022年11年1日(火)よりウェブサイトやブランドロゴ・ステートメントを新たに作成し、「kimawari」として本格的に稼働を開始した。

2022年10月5日:日本のトップシェフ&ソムリエが選ぶワイン専門通販「暮らすワイン」10月11日オープン!

千趣会の子会社であるウェルサーブは、ワイン専門通販サイト「暮らすワイン」を2022年10月11日(火)にオープンした。

2022年8月18日:住宅メーカー「Lib Work」と共同開発「BELLE MAISON DAYS」の家2023年販売開始

住宅の企画、施工、販売を行うLib Workと、千趣会の通販事業ベルメゾンのインテリア家具・雑貨のオリジナルブランド「BELLE MAISON DAYS」は、コラボレーションした戸建住宅の販売・商品開発において、共同商品開発契約を締結した。

2022年06月21日:初コラボ商品、東京駅で販売 盛岡・ヘラルボニーと千趣会

「ベルメゾン」ブランドを手がける通販大手の千趣会と、盛岡市のヘラルボニーは、初のコラボ商品を開発し、JR東京駅地下1階改札内のグランスタ東京で20日からアパレルや雑貨など日々の暮らしをアートで彩る商品の販売を開始した。

2022年06月17日:千趣会/JFLAホールディングスと合弁会社、ワインECなど

千趣会は6月17日、JFLAホールディングスと合弁会社「ウェルサーブ」を設立することを発表した。

2022年3月14日:千趣会、デジタル販促の共同出資会社 コンサルと設立へ

カタログ通販「ベルメゾン」の千趣会は、経営戦略コンサルティングのコーポレイトディレクションとともに、ベルメゾンの強化に向けたデジタルマーケティング施策の立案と実行を担う共同出資会社を設立すると発表した。

2022年2月2日:クリーニング付き保育用品のレンタルサービス「えがおすくすく便」4月1日サービス開始

 千趣会と同社の100%子会社である千趣会チャイルドケアおよびコーベベビーは、3社の協業事業となるクリーニング付き保育用品のレンタルサービス「えがおすくすく便」を2022年4月1日(金)に開始した。

まとめ

 他社に先駆けて通販事業を手がけてきた株式会社千趣会は、近年は通販事業の改革を進めています。コア事業とは関連性が低いブライダル事業のような事業を切り離すなど、高い柔軟性や決定力を備えた企業といえるでしょう。

 通販需要の拡大に向けて、さらに大きなシェアを獲得していくことが期待されます。

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EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

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