リアルが本丸!なお店が目指すもの、そのうえでECについてどう捉えているか、活用しているかに迫ります。第1回は、「日本のモノづくり」にこだわったセレクトショップ「日本百貨店(にっぽんひゃっかてん)」。代表取締役の鈴木正晴さんにお話を伺いました。
物語を持つモノを通じ、昭和の商店街のような会話のある店を
東京・上野御徒町、ガタゴトと電車の音がするJR東日本の高架下に「日本百貨店」はある。2010年12月に出店したおかちまち本店、そして上野、秋葉原、吉祥寺、横浜あかれんが、たまプラーザ、町田、そして池袋駅のホームと、関東圏で7カ所に店舗を展開する。それぞれ異なる個性を持ちながら、共通するのは「日本」にこだわっていること。「モノづくり」と「日本のスグレモノ」をテーマに、日本各地から選りすぐりの商品を取り扱う。
おかちまち店の中に入ると、カラフルなブリキのおもちゃがずらり。東京都葛飾区にある「三幸製作所」の80歳になる職人、柳澤さんの手によるもので、どこかノスタルジックな雰囲気に、初めて見るという若い人も懐かしがって購入するとか。ほかにも、斬新なデザインの「ぽち袋」や個々に表情が異なる「こけし」、浴衣に合いそうな「つまみ細工のかんざし」など、日本の伝統を強く感じさせながらも、今も日常的に使えるものが所狭しと並ぶ。
「『昭和の商店街』みたいにしたかったんですよね。実際、うちの店には常連さんも多いし、話し好きのお客さんがほとんどです。ふらっと来て、ふと心ひかれた商品を手に取る。で、お店のスタッフといろいろ話し込んでいく。モノには作り手の物語があって、それを聞いてさらに気に入ってくれる。モノを介して人の輪が広がっていくのがうれしいです」
そう語る代表取締役の鈴木正晴さんは元エリート商社マン。約9年間、アパレル部門で欧米のハイブランドの輸入を担当し、日本のアパレルの魅力も熟知するようになった。ある日、浅草の靴職人がつくった高品質な靴を見て、「もっと日本のモノづくりの価値を世界的に高めたい」と思うようになったと言う。
「その靴の価格は、欧米ブランドの20分の1以下。あまりの理不尽に、『世界に日本のいいモノを知ってもらわなくては。いいものには、もっときちんとした対価が払われるようにしないと』と使命感を感じて、脱サラしたんです。今考えると若気の至りですが(笑)」
31歳で日本のアパレルを海外に紹介する事業で独立するものの、流通の権威の壁に突き当たって挫折。苦し紛れに、違和感を覚えていた輸入業をはじめるなど試行錯誤を続ける中で、さまざまなヒト・コト・モノと出会い、自身も知らない「日本のよいもの」がまだまだたくさんあることに改めて気づかされたそうだ。
「まずは、日本人が自国のよいモノを知らずにどうするんだと。知らずに消えていくモノが日本にはたくさんある。そんな時に、温かみのあるブリキのおもちゃをつくる葛飾の柳澤さんと知り合い、『作り続けてもらうためにはどうしたらいい?』と考えるようになったんです。それが『日本百貨店』の誕生のきっかけです」
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伊藤 真美(イトウマミ)
フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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