オムニチャネルが当たり前になって、ユーザーが欲しいタイミングに欲しい場所で商品が手に入るようになりました。その裏側で管理コストの増加と人手不足が続く物流をどうするかが問題になっています。激変の物流業界について、物流コンサルを手がける株式会社リンクス 代表取締役社長の小橋重信さんにお話をお聞きしました。
ロボットを検討すべき出荷件数は? 物流アウトソースのルール
森野(運営堂) 今日は、主にアパレル業界の物流についてお聞きしたいと思います。アパレルの場合は実店舗を持っている場合が多く、そうなると必然的にオムニチャネルの取り組みが必要になってきます。在庫の共通化、効率化が課題になってくると思うのですが、現状はどうなっているのでしょうか?
小橋(リンクス) 大きく3つに分類して考えます。出荷が1日1,000件に満たないミニマムなところは「オープンロジ」などのクラウド主体で、簡易的な仕組みでやりましょう。件数が増えて簡易的な仕組みでは厳しくなってきたら、「ダイワロジテック」などのシェアリングを利用し、ロボットなんかもみんなで使えるようにしましょう。さらに1日に1万件を超えてくると、在庫を分散したり、AIを入れたりといった取り組みが必要になるので、オリジナルで物流をやる必要があります。
森野(運営堂) とてもわかりやすい分類ですね。クラウド→シェアリング→自前物流の流れ。始めたばかりの頃は、それこそ自分たちで梱包も行っていると思うのですが、どれぐらいの規模から物流の外注を検討すればいいのでしょうか。
小橋(リンクス) 1日30件を超えたらアウトソーシングしましょう、という人もいます。その規模になると、専任の担当者をひとりつける必要が出てくるからです。ならば、変動費化して専門業者に任せたほうが、自分たちは商物分離で本業に専念できるよねという考えかたです。ロボット化などを検討するのは、もう少し先、1日1万件ぐらいになりますね。
森野(運営堂) 自前の倉庫で、自社の社員がピックアップしてというのはもう古いというか、無理だということなんですね。
小橋(リンクス) 今って、店舗だけでもネットだけでもダメな時代です。よほどニッチで「お店でしか買えません」みたいな商品以外は、どんな方法であってもとにかくお客様に届けるということをやらないといけない。すべてをオムニチャネルの視点で見る必要があります。
そうなると、物流に人を回すよりは、接客に回して売上を作るほうに専念するのがいいですよね。たとえば、BEAMSさんはRFIDを導入して、動画配信にも取り組まれています。RFIDで店舗スタッフの負担を極力減らし、あいた労力を動画に回すことができているのです。接客もして、ブログも書いて、在庫も見なさい、なんて到底無理な話なので。
森野(運営堂) 確かにそれはそうですよね。お客様との接点は、店頭だったり、ブログだったり、動画と多様になってきている。できていない施策があれば、そこの接点を失いますよね。すると、在庫や物流に関しては効率化するしかない。売れば売るほどスタッフの負担も重くなり、コストも増えるというのでは本末転倒ですし。
小橋(リンクス) 物流を効率化してその分を別の仕事にあてたいという考えの場合、今はロボット化して少人化するやりかたが主流です。ロボットは24時間フル稼働しますし、生産性もある一定の量から減らない。AIに関連して、「人間がやるべき仕事」と「機械がやるべき仕事」はなにかという議論になりますが、物流業務に関しては機械がやるべき仕事だと僕は考えています。仕事に対して人のほうが余っている状況なら、物流業務は雇用創出のひとつになりえます。しかし今は人が足りないので、雇用創出はリスクになりますから。
森野(運営堂) 仕事が増えて雇用が生まれて景気が良くなって……という時代が懐かしいです。
小橋(リンクス) 一般的に「物流はコスト」と見る向きがあるので、WMSのようなシステムにお金をかける企業は少ないですね。反対に、店頭にはお金をかけるんですけど……。アパレル黄金時代の80年代の方が、レジェンドとしている。この方々がいる限りは、僕はこの状況は変わらないと思っています。彼らの時代は作れば売れた。企画一発でいきなり起死回生で会社が立ち直った成功体験がある人たちがいる限り、若い人たちが何も言えなくなってしまいますので……。
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森野 誠之(モリノ セイジ)
運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジシ...
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