釘を使わず木を組む「組子」のらんまや引き戸をネットショップで販売する、富山の「タニハタ」。ザ・リッツカールトンに採用され、海外からも注目が集まっている。1996年にホームページ、2000年に楽天市場への出店と早くから取り組み、試行錯誤しながら今のブランドを築き上げた、代表の谷端信夫さんにお話をうかがった。
自社ECサイトで「和」の組子復活!タニハタさんインタビュー
――2000年に楽天市場に出店されるまでの経緯を教えてください。
「1959年に富山で父が始めた時には、建具屋さんへの卸販売をしていました。人が嫌がるような細かい細工の仕事をするうちに、少しずつ仕事が増えていてって、『谷端組子店』を開くことに。組子のようなデザイン商品は、機能性商品と違って、『美しいですね』と言いながら通り過ぎて行ってしまうので、ビジネスとして成立するまでは長い時間がかかりました。
一度目の変化は、生活スタイルが洋風に変わって、和室がなくなっていった時期。和室の部材である、組子も売れなくなります。1995年くらいには仕事がなくなって、東京の建材メーカーにいた私は富山に戻りました。和風がダメなら洋風でと新しい商品を開発して、ホームセンター等に飛び込み営業して。けっこう評判がよかったんですよ。
それなら大量生産だと、工場を広げ、人を増やしました。こだわりのある職人が辞めていくのに、これでいいのかと思いながらも売り上げは伸びていましたから。でも2000年近くになると、10分の1の価格で中国産が入ってきて、『もう来なくていいよ』と。
借り入れだけが残って途方にくれていたところ、楽天市場を取り上げたテレビ番組を見ました。三木谷さんの前に、ずらっと人が並んでるんですね。1996年にはホームページを作っていたのですが、まったく反応がなくて商売にはならないと、あきらめていた自分が悔しくなりました。よし、ネットだと、楽天市場に申し込んだんです」
――ネットショップ開店当時はいかがでしたか?
「小売のノウハウがまったくないので苦労しました。日本全国送料は同じだと思っていたくらい。クレームが来るたびに腰が引けてましたけど、商品が届かないというお問い合わせをいただいたお客様から『◯◯さんは、メールに送り状番号が入っているわよ。当たり前のサービスしなさい』と言われて。
◯◯さんというのは、上場しているような大きな会社だったんですね。うちみたいな小さい会社と比べてくれるなよと思ったんですが、裏を返せば同じ土俵で見ていてくれるんだ。ネットショップなら、サービスをしっかりやっていけば大手さんとも戦えるのかもしれないと。そこから、いただいたクレームを1件1件朝礼で読み上げるようにしました。
2006年には、『和』の自社ECサイトを始めました。楽天市場では、洋風のラティスショップをやっていたのですが、お客様から『和の商品ないの?』とお問い合わせがきたんです。ブロードバンド時代になって、細かい細工を見せられる大きな写真をアップしても問題ないようになりましたしね。自社ECサイトが出来上がって、『和』の組子でもう一度父に勝負してほしかったのですが、完成前にがんで亡くなりましたのが残念です。
今では商品数もサイトのページ数も減らして、完全受注生産でやっています。部材から一品物になった。以前は、アクセス数を上げるためには、商品を多く持って、間口を広くと思った時期もありましたけど、それよりも会社の核の部分を固め、商品を研ぎ澄ませ、利益率を高め、お客様の転換率を上げていくこと。アクセス数やSEOも重要ですが、それ自体が目的になってはいけない。今は、注文数は減りましたが、客単価は大きく上がって、経営は楽になりましたから」
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倭田 須美恵(ワダ スミエ)
2013年11月11日、ECzine立ち上げ。ならではの視点でECに関する情報をお届けしたいと思います。
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・[執筆]NP通信※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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