メガネスーパー入社から4年、ECの売上を3.4倍にし、決算に「EC関与売上」を記載するなど オムニチャネルを推進している川添さん。イベント登壇や執筆など、メディアでの活躍もめざましい。自ら考え、行動した結果、新たな人に出会い、答えを得て、突破することを繰り返してきたように見える。川添さんの生き様は、実店舗を持つEC担当者はもちろん、企業内で奮闘する人に勇気を与えているのではないだろうか(※本記事は、2017年12月25日刊行の『季刊ECzine vol.03』に掲載したものです)。
入社半年でECリニューアル メディアに責任者自ら売り込み
川添さんは、2013年7月にメガネスーパーに入社、12月に同社のECサイトをリニューアルし、それについて自分で書いたプレスリリースを編集部に送ってきてくれたのが出会いのきっかけだ。ウェブマガジン「ECzine」を開始したのが、2013年11月。ECの責任者が自ら、プレスリリースを送ってくれることは今でもめずらしい。それが、サイトオープンからひと月後にあったことで、よく覚えている。
「前職のアパレル企業でECを担当していたとき、事業部のPRをするメリットを知りました。とはいえ、さまざまな事情があって、転職後はこれでも控えめにしていたんです。実は、ECサイトリニューアルの前の11月に、ブームに先駆けてLINE公式アカウントをオープンしているのですが、この時は私が表に出てPRできませんでした」
メガネスーパーは、2006年頃から楽天市場でECを開始、その後自社ECを開設。売上をさらに伸ばすべく、コンタクトレンズを販売するECサイトを買収、そのノウハウをもってEC事業を拡大する。川添さんが入社した2013年当時、そのECサイトは売却され、EC事業の売上は1億円ほど、かろうじて黒字という状態だったと言う。メガネスーパーという企業自体が経営不振に悩んでいた時期でもあった。根本からビジネスを立て直すために、EC事業が先陣を切って利益体質にしていく必要があった。川添さんが入社したのは、絶妙なタイミングだったと言えよう。2013年12月のECサイトリニューアル後、自社ECサイトの単月売上は前年比210%、前月比133%、そこから半年で前年比173%まで売上を伸ばしている。
株式会社メガネスーパー デジタル・コマースグループ ジェネラルマネジャー
川添隆さん
ECだけの集客には限界がある 実店舗との連携が突破口に
川添さんは、佐賀の老舗旅館の次男に生まれ、大学で建築を学ぶために上京。大学時代からアパレルショップでのアルバイトをはじめ、卒業後は、もともと好きだったアパレルの世界に入る。
「当時は、建築の大卒でわざわざアパレル企業に入るなんて……と言われましたが、お客様と接することが好きなので、楽しかったです。旅館経営は結局のところ、お客様商売。商売人のDNAは、引き継いでいると思います」
その後、現在の「ZOZOUSED」を運営するクラウンジュエルを経て、109系のアパレルブランド「LIP SERVICE」を旗艦ブランドとするクレッジに入社して1年半後、こちらも経営不振のタイミングでEC責任者に抜擢、EC売上を2倍以上に伸ばすことに成功する。メガネスーパー入社後、いきなりのEC責任者への抜擢も、この実績が評価されてのことだった。
「前職で29歳でECの責任者に抜擢されたとき、最初にやろうと思ったのはチームを作ること。EC運営の基本となるファンクションの担当者から、少しずつ増やしていきました。最初は3、4人ぐらいでスタートして、1年間で10人くらいのチームにしています。
施策としては、まず集客が重要だと思ったので、あるブログ媒体と組んで、人気ファッションブロガーと限定コレクションを企画したり、スタッフ100人のブログランキングを発表したりしたのですが、EC売上は1.2~1.3倍程度にしか伸びなかった。劇的に変わったのが、“店頭との同期”を始めたときです。新商品が店頭に並ぶ日やキャンペーンの開始をあわせたり、店頭スタッフを起用して撮影をしたり、それを一部店頭販促でも使うようにしたり。SHIBUYA109に入っている熱狂的なファンがいるブランドだったこともありますが、ECの売上はECだけで作るのではない。『実店舗の体験にあわせたECを作る』というコンセプトが浮かび、実行していくうちに、ECの売上も伸びていきました」
こうして、実店舗を持つ企業のECの役割、ひいてはオムニチャネルの核となるものが川添さんの中に生まれたのだった。
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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)
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