自社ECで3度も経験した倒産危機をきっかけに、ECが儲かるためのEC分析ツール「FULL KAITEN(フルカイテン)」を考案した著者が、粗利からみる売上アップ法を全6回にわたってご紹介していきます。第5回は「粗利が減少した失敗例」です。
前回の記事では、粗利単価を実際に向上させることができた施策を紹介しました。
今回は逆に、粗利単価が下落してしまった取り組みをいくつかお話していきたいと思います。
失敗例(1) 送料が無料になる購入金額が安すぎる
下記の表は、弊社が自社運営しているベビー服ECで、送料が無料になる購入金額を値下げする前後の粗利単価を比べた表です。
| 送料無料条件 8,000円以上購入 | 送料無料条件 2,000円以上購入 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 粗利単価 | 2,784円 | 1,746円 | 1,038円下落 |
送料が無料になる購入金額を8,000円から2,000円に値下げすると、なんと粗利単価は1,038円も下落してしまいました。
全体の粗利は粗利単価と受注件数の掛け算で決まりますので、粗利単価の下落を補って余りあるぐらいに受注件数が伸びなければ、全体の粗利も減少するという結果になってしまいます。
購入金額の条件が2,000円以上の時の粗利単価(1,746円)で、8,000円の時の粗利単価(2,784円)と同じ粗利額に引き上げるためには、受注件数は1.59倍(2,784÷ 1,746=1.59)になることが最低ラインです。
しかし今回の検証では受注件数が約1.2倍にしか伸びなかったうえに、全体の粗利を激減させてしまったため、大失敗に終わりました。
この失敗施策からは重要な学びがありました。
それは「思い込みの罠」です。
弊社がしてしまっていた思い込みとは、
・お客様はECでは送料無料が当然だと思っているはず
・お客様は少しでも安く買いたいと思っているはず
というふたつです。
受注件数は約1.2倍にしかならなかったので、送料無料や安さは、受注件数を2割増加させる程度の影響力しかなかったということになります。
しかも弊社の自社ECサイトはオリジナル商品を販売しているわけではなく、他のECサイトも販売している商品を同じように仕入れて販売していますので、お客様にとっては価格の比較がしやすいのです。
そうであるにも関わらず、安さが受注件数に与えた影響は2割程度です。

また、この失敗例を通して、下記のようなエピソードも生まれました。
送料が無料になる購入価格を2,000円以上から8,000円以上に戻したいというお詫びのメールを全会員に送信したところ、
「そもそもなぜ2,000円以上にしたのですか?私は8,000円以上買わないと送料無料にならないからこのお店で買っていたんです。誰でも買えるような安っぽいお店になったので残念な気持ちでした」
という趣旨の返信を何通も頂戴したのです。
これらの事実から、お客様は安さだけで購入を決めているわけではないということがわかりますよね。
安さではなくいかにしてお店を好きになっていただくか。それこそが、中小規模のECが追いかけるべき指標だと私は思います。
このあたりのお話は、本連載の第2回「粗利単価はお店の格で決まる!?粗利単価の高い注文を増やすコツ」のアンカリング効果のところで詳しく説明をしていますので、そちらもあわせてご覧ください。

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- この記事の著者
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ハモンズ株式会社 代表取締役 瀬川直寛(セガワナオヒロ)
自社ECで3度も経験した倒産危機をきっかけにECが儲かるための改善手法を考案。 自社ECの粗利を2倍、在庫を1/2に削減した手法をクラウドサービス化し、2017年10月からサービス提供開始。 現在、サイト改善や広告に頼らずに儲かるECになるための手法を熱心に啓蒙している。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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