TSUTAYA、コスメのエクスボーテ、スキンケアのプロアクティブなど、異なるジャンルでデジタルマーケティングを推進してきたアクティブ合同会社CEOの藤原尚也さん。現在はファッションブランド「DoCLASSE」のCMO兼web事業部長もつとめています。それぞれの企業で藤原さんが成果をあげることができた理由とは。どう戦略をたて、実行に移してきたのか。本連載では、デジタル、店舗、テレビCMなどに精通する藤原さんにその秘訣を伺います。今回からは具体的なケーススタディーをお届け。初回のテーマは「EC」です。ECで成果を上げるための考え方や、EC担当者を育てる際のポイントなどについて伺いました。
Q.「とにかくECサイトをよくして」と言われたらどうしますか?
――今回は具体的なケーススタディーとして、ECをテーマにお伺いしていこうと思います。早速ですが、「とにかくECサイトをよくして」と経営者から言われたら、藤原さんは何から始めますか?
「ECサイトをよくして」と言う経営者の視点は大きくふたつあると思います。モノを売る視点と、実店舗の店舗検索をEC上でできるようにするなど、事業全体のハブとしてECを捉える視点のふたつです。ですのでまず、それぞれ経営者が何をよくしたいと思っているのかをディスカッションによって明確にする必要があります。ECをこれくらいの売上規模にしたい。こういうお客さんに来てほしい。こんなことがEC内でできるようにしたい。そういったビジョンを達成するために必要な要素を一つひとつ洗い出し、細分化し、優先順位をつけていきます。
その洗い出したリストを見た時に、経営者が「そうそう!」となるときもありますし、「そうじゃなくて、もっとこういうことをやってほしい」となる場合もあります。優先順位は低いけど、すごく想いは強くてできれば進めていきたいこととか、事業の中にはそういうアンバランスさもあると思うんです。そこは議論の中で、気をつけて見つけるようにしています。
そこからさらに、できるのにやっていないのか、そもそも仕組みとしてできないのか、を分けて考えていきます。現場の人たちに意見を聞くと、やりたいのはわかるけどこういう理由で物理的にできません、という答えが返ってくることもあるので、今度はその現場の人たちとのギャップを埋めていく作業も必要です。
――そのギャップはどうやって埋めていくんですか?
現場は一生懸命やっているんだけど、その効果がなかなか出ていないこともあるし、ただやっていないこともある。現場が優先順位を間違っているときもあるわけです。
上に立つ人は全体を見ているので、たとえば多くの案のひとつとして「こういうこともやってみたら?」という提案をしたとします。それをしろと言ったわけではないんだけど、それを聞いた人たちは、その担当業務に自身の全リソースを投下しているので、「それはやらなければいけないことだ」と思ってしまう。そこで前言ったことがおざなりになって、なぜできていないのかを聞くと、「いや、この前こっちをやってって言われたんで」という答えが返ってきたりする。すぐにやらなければいけない数字のことと、こうあるべき、こうしていきたいという中長期的な話が現場だと混ざってしまいがちなんですよね。経営者は常に俯瞰してみているので、この時間軸の違いを理解していますが、現場は経営者の目線に立って物事を聞いているわけではありません。その時間軸が混ざることで、優先順位づけが間違っているため、上手くいっていないこともあります。

また、すぐにやらなくてもいいけど思いが強くていつかはやりたいことは、スケジュールに組み込み、少しずつでも進めていくことが大事です。そのバランスを現場と釣り合わせていくために、複雑な資料を作る必要はありませんが、エクセルなどでタスクの管理表を作って、各案件ごとに重み付けをする。そこで重要だけど時間がかかることと、今すぐやらなければいけないことを整理することで、まずはスタートラインに立つ。時間はかかりますが、なるべく早くそれらは済ますようにしています。それらをしっかり分けたうえで、そのためにどんなメルマガを打つべきかなど、細かなタスク単位ですべて洗い出します。
そして僕は、なぜその担当業務が必要で、全体の中でどんな役割を果たしているのかを一人ひとりに説明するようにしています。経営層の人たちは、その業務の理由まで、懇切丁寧に説明しないことがほとんどですよね。でもなぜやるのかということには納得感が必要だと思うので、それを理解するためのプロセスを説明します。
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ECzine編集部 中村 直香(ナカムラナオカ)
ECに関する情報を、正確にお届けできればと思います。よろしくお願いいたします。
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