D2Cをはじめとする自社製品を製造・販売するメーカーは、事業を軌道に乗せて安定成長フェーズに至るまでの間に、ほぼ必ず資金繰りの苦しさにぶつかります。事業は拡大しているのに、手元にキャッシュがない。資金調達が難しい。こうした拡大期のD2C/新興メーカーが抱える固有の課題について紹介する本連載。第2回は、中小企業の資金調達を助ける「レベニュー・ベースド・ファイナンス」と「法人向けあと払い」の違いについて、事例を交えつつご紹介します。
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バリエーションが増えている中小企業の資金調達法
これまで、中小企業の資金調達の手法としては次のような手法が存在していました。
- 株式調達:企業が新たな株式を発行し、それを購入してもらうことで事業に必要な金銭を手に入れる
- 銀行借入:文字通り、銀行から資金調達を行う手法。資金繰りの特性上、赤字決算となるケースが多い拡大期のD2C/新興メーカーはこの手段を取るのが難しいケースが多い
- ノンバンクからの借入:銀行以外の金融機関から資金を調達する手法
- ファクタリング(請求書買取サービス):売掛債権などを譲渡し、一定の手数料を支払った上で資金を調達する手法
しかし近年、次のような新たな資金調達手法が登場し、企業にとっても選択肢が増えています。
- レベニュー・ベースド・ファイナンス
- 法人向けあと払い
これらは具体的にどんな仕組みで、どんなメリットを享受できるものなのでしょうか。それぞれの特徴を解説します。
SaaSサービスの台頭で生まれたレベニュー・ベースド・ファイナンス
海外で特に注目が高まっているのが、レベニュー・ベースド・ファイナンスです。これは、仕組みとしては従来型の資金調達手法で挙げられているファクタリングと類似していますが、より柔軟性の高いものとなっています。
ファクタリングは前出の通り、資金調達を希望する企業が入金期日前の請求書など「売上発生見込みのある書類」を第三者に買い取ってもらうことで、資金調達を行うサービスです。業務履行→請求書発行によって確定した売掛債権を買い取ってもらう性質から、「売掛債権の譲渡」と呼ばれることもあります。
対するレベニュー・ベースド・ファイナンスは、確定した売掛債権ではなく、「将来発生するであろう売上(債権)」を先んじて譲渡するスキームです。資金調達を希望する企業が、将来的に発生すると見込まれる売上高を試算して資金を調達し、調達以降は発生した売上から毎月一定比率を返済していきます。
レベニュー・ベースド・ファイナンスのメリットは、実現した売上に応じて返済が可能かつビジネスの進捗に応じて柔軟な返済ができる点にあるといえます。
こうしたサービスが生まれた背景には、様々なSaaSサービスの登場があります。売上に関するデータを正確かつスピーディーに把握できるようになり、資金調達を希望する側も支援する側も、未来予測が容易になりました。
たとえば、米国・ボストンを本拠地とするレストラン管理ソフトウェア企業「Toast」は、提供するソフトウェアの特徴から、各レストランの売上高に関する精緻なデータを収集・保有しています。同社はこれらを活用して資金調達を検討する企業の将来売上高を推計し、将来債権をもとにした資金調達の支援を行っているのです。
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- この記事の著者
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株式会社Finatextホールディングス 取締役CFO 伊藤祐一郎(イトウ ユウイチロウ)
東京大学経済学部卒業。2010年よりUBSの投資銀行本部においてIPOやグローバルM&Aのアドバイザリー業務に従事。2016年に株式会社Finatext(現・株式会社Finatextホールディングス)に参画しCFOに就任。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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