「BAKE CHEESE TART」「PRESS BUTTER SAND」など、様々な菓子ブランドを展開する株式会社BAKE。近年は、ブランド複合型の旗艦店「BAKE the SHOP」やオンラインショップ「BAKE the ONLINE」も展開し、BAKEブランドへの愛着を育むような取り組みを加速させている。そんな同社が、2023年10月に初のオンラインを基軸としたブランド「架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』」をオープンした。「新たな“イマーシブ(没入)体験”を提供するブランド」といったコンセプトを掲げた背景には、どんな考えがあるのか。これまでと違ったブランド作りに挑戦する、同社執行役員 ブランディング担当の北村萌氏に話を聞いた。
生みの苦しみを味わいながら約1年半かけて構想
2023年10月、オンライン上に新たなパティスリーが誕生した。架空の舞台「マンション・インディゴ」の1階で営まれる「架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』」は、BAKEが展開する新ブランドだ。同マンションに住む、愉快で一風変わった住人たちの物語をモチーフにした菓子をオンライン基軸で提供し、自宅にいながら世界観豊かな物語や買い物を楽しめる工夫が施されている。
「BAKE CHEESE TART」「PRESS BUTTER SAND」「RINGO」など、BAKEがこれまで展開してきたブランドはいずれも実店舗を主軸としたもの。それらと比べると、「架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』」は少々異色ともいえよう。なぜ今こうした新ブランドを立ち上げたのか北村氏に聞いたところ、きっかけは「2020年以降のコロナ禍にある」と返ってきた。
「外出自粛などの影響もあり、BAKEが展開する店舗の売上は2020年に前年比9割減にまで落ち込みました。消費者の行動変容も大きく、様々なものをオンラインで購入するようになる中で、店舗以外の場でも体験を提供できるようにならなければ生き残れないと考え、2020年6月に立ち上げたのが『BAKE the ONLINE』です。これがオンラインで体験提供をする大事さに気づいた第一歩でした」
eコマースの知識はなく、右も左もわからない状態から手探りで運営を始めたが、顧客の声に耳を傾け、ニーズをとらえながら一つずつ課題を乗り越えていった同社は、ECサイト開設から2年かけて事業を黒字化。前進しながら、この市場に合ったブランドを生み出す必要性を感じたという。
「BAKEが展開するブランドでは、実店舗で五感を通して提供する『ライブ感』を大切にしていました。コロナ禍で当社に限らず、多くのブランドのEC化が進みましたが、単にチャネルを置き換えるだけでは選ばれる売り場になりません。『そこにしかない体験』を提供するために何が必要か、非常に悩みました」
そこでBAKEが選んだのは、オンラインを基軸とした新たなブランド展開だった。現時点では五感を表現する手段が限られるeコマースの世界で、どのようにすればBAKEが大事にする臨場感ある体験を打ち出していけるか。「架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』」の構想にたどり着くまでの過程では、VRイベントへの参加なども模索したそうだ。
「ブランドを構想する初期から、『イマーシブ』というワードには注目していました。ただ、その『没入感』をどうすればBAKEのオリジナリティーある形で打ち出せるかは、1年半ほど時間をかけて考えました。今までのブランド作りとは違った道のりで、本当に一から手探りで進めていったので、苦しさもありましたね」
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夏野 久万(ナツノ クマ)
フリーライター。制作会社などで勤務後、独立。紙媒体をはじめ、企業のオウンドメディアやビジネス系、ライフスタイル系メディア、コラム、エッセイなども手掛ける。
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