大なり小なり、EC運営において避けられないのがシステムトラブルです。たとえば、リリース時の不具合のよるオープンの遅れで、事業に大きなダメージを受けることもあります。どうすればリスクを最小限に抑えられるのでしょうか。トイザらスグループをはじめ、3社で大規模EC・オムニチャンネルの事業責任者を経験したネクトラス株式会社 代表取締役 中島郁氏による連載「失敗したから語れるECのこと」。第5回は、中島氏が自身の失敗経験から学んだシステムトラブルの乗り越え方を共有します。
前回の記事はこちら
なぜ想定どおりのECサイトが構築できないのか
EC事業の規模を問わず、システムやインフラ整備にトラブルはつきものです。また、構築会社から上がってきたECサイトやシステムが、想定していたものと大きく異なるという話もよく聞きます。
EC運営を行う上で、「プラットフォーム」と呼ばれるシステムの上に構築されるECサイトと管理業務機能が不可欠なのは、いうまでもありません。その次に重要なのが、基幹業務や物流といったインフラ、ECシステムと連携する他システムです。
事業規模の小さいうちや立ち上げ初期は、マーケティングや企画部門がEC向けのSaaSや外部サービスを利用しているために、「システム」を触っていると意識していない人も多いようです。それでも、システムに起因するリスクは存在します。ある程度の知識や思考は必須といえます。
極端な話ですが、割とよくあるのが構築会社に「うちの商品はこれで、事業規模を○年後に○億円にしたいから、ECサイトを作ってほしい」とだけ伝えているケースです。また、想定どおりのECシステムでなかったため、とにかく「うちのシステムはひどい。早く乗り換えたい」と思い込んでいる企業も。これらの状況は、実はほぼ同じ要因で発生します。
トラブルの原因は○○に
依頼側でやりたいことをまとめたものが「ビジネス/業務要件」です。「顧客に提供したい価値」「必要な機能」「目指す事業規模」「社内のオペレーション」などが該当します。それらを明確にし、開発側に伝わるように整理したドキュメントを要件定義書といいます。トラブル/失敗の原因は、多くの場合「ここ」にあります。たとえば、要件定義の重要性を理解していなかったり、そもそも作成方法がわからなかったりして、開発側に丸投げするなどです。
「ECサイト/ECシステムはシステムだから、要件定義書は開発側が用意する」と考えるかもしれません。しかし、本来は依頼側(事業者側)の責任で作るものです。
先の 「うちのシステムはひどい。早く乗り換えたい」 の事例も、深くヒアリングすると、そもそも要件定義が十分に作成されていない上に、担当者たちが要件の意味合いを理解していませんでした。これでは、どのプラットフォームへの乗り換えても、同じことが起きるでしょう。
メールマガジンに登録無料すると、続きをお読みいただけます
この記事は参考になりましたか?
- 失敗したから語れるECのこと連載記事一覧
-
- 実は売上成長が停滞しているわけではない? ECの立ち上げ期・成長期にぶつかる10の壁と対策
- ECと切り離せないシステムトラブル サイトの新規立ち上げ・リニューアル時のリスクを最小限に...
- EC事業が他部署の協力を得る方法 事業推進のコツと人間関係を改善するコミュニケーション術
- この記事の著者
-
ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁(ナカシマ カオル)
新規事業立上げ、急成長事業マネジメントのプロフェッショナル。
ベンチャー、外資、老舗、それぞれで事業立上げ、急成長事業の責任者を歴任。関与分野は、小売、EC、インターネット、メディア、アウトソーシングを含むサービス業等。トイザらスではマーケティング部門立上げ、EC専業法人設立。ジュピターショップチャンネ...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
