2024年10月16日にSalesZineが開催した「SalesZine& Beyond2024」では、成熟した営業組織を変革しながらマーケティングとセールスの連携を深めた双日テックイノベーション(略称:STech I、エステックアイ)の榎本 瑞樹氏、新規事業の立ち上げにおいて「The Model」型の営業プロセスを実践したTOPPANデジタルの平野 雄大氏が登壇。「to Be ONE TEAM ともに売上をつくるマーケティングとセールス」と題した基調講演で、マーケティングとセールスが「ONE TEAM」で自社の成長を目指すためのポイントを探りました。
「Sales is Science」のもと、プロセスを再設計
高橋(SalesZine) はじめに、双日テックイノベーションとTOPPANデジタルがどのようにしてマーケティングとセールスの連携を深めてきたか、その歩みについて教えてください。
榎本(双日テックイノベーション) 双日テックイノベーションでは、2015年ごろからマーケティングとセールスのプロセス変革やイネーブルメントに取り組んでいます。それまではいわゆる「ガッツ営業」で、営業担当者がとにかく多くの顧客と接触し、根気強く売り込むスタイルが主流でした。しかし顧客のニーズが多様化する中で、これだけでは限界があると感じていたんです。
榎本 瑞樹氏
双日テックイノベーション(旧 日商エレクトロニクス)に入社後、営業部長、マーケティング部長を経て、シリコンバレー拠点の駐在社長として、リテール、フィンテック、Web3をテーマに新規事業開発、オープンイノベーション支援、米国スタートアップ投資を手掛ける。2022年帰任後、エンタープライズ営業・マーケティング組織の統括責任者としてクラウド・データ利活用領域の事業成長を牽引。アカウント営業のセールスイネーブルメントに取り組んでいる。 2023年、GRIT&ME合同会社を創業。セールスイネーブルメント、新規事業開発、デザイン思考ワークショップなどコンサルティング、人材育成研修を提供。iU情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。スタンフォード大学 Graduate of Business, Design Thinking,
榎本 ちょうどそのころ、営業部長として海外カンファレンス「Sales 2.0」に参加します。そこで聞いた「Sales is Science(営業は科学だ)」というフレーズには衝撃をうけました。営業活動を再現性のあるプロセスにし、データと事実に基づいた行動をとることで効率的に成果を上げるという考え方です。当社でもさっそく実践に移しました。
そのひとつが、マーケティングとセールスのプロセスを再設計することです。当時はマーケティング、セールス、エンジニアという3つの組織に分かれていたのですが、マーケティング組織の配下へインサイドセールス(SDR)を立ち上げ、マーケティングとセールスの間で顧客との関係を構築する役割を与えたのです。現在はBDRにも取り組みながら、マーケティングとセールスの連携を強化しています。

高橋 グローバルのトレンドもとらえながら、長年の自社の営業スタイルを変えてきたのですね。一方で平野さんは、榎本さんとはまた異なる状況でマーケティングとセールスの連携を深めてきたかと思いますが、いかがでしょうか。
平野(TOPPANデジタル) TOPPANデジタルでは「review-it!」というSaaSプロダクトの新規事業において、セールス・イネーブルメントやマーケティング施策を強化してきました。
平野 雄大氏
入社以来、受託型のシステム開発プロジェクトのPMやAI活用コンサルティングを担当。並行して新規事業創出活動を行い、2019年に金融文書向け、2022年に商品パッケージ向け校正自動化SaaSである「review-it!」をローンチ。印刷の受注産業が主であった組織の中でデジタルプロダクトのセールス手法構築およびCS組織の立ち上げによって事業成長に貢献。2023年のホールディングス化以降はTOPPANデジタルにて新規事業立ち上げ支援からマーケティング・セールス体制の構築・最適化など、ローンチ後のビジネス拡大・PMF達成・GTM戦略の立案/遂行をテーマに活動中。
平野 新規事業では、立ち上げ当初こそ属人的な営業スタイルでもある程度売れるものの、さらに事業をスケールさせるには組織の再現性を高める必要があります。また、プロダクト開発チームとアカウント営業チームが分断している組織構造も大きな課題でした。プロダクト開発チームは担当するプロダクト・サービスの売上をKPIとする一方、アカウント営業チームは全体のトップライン向上をミッションとします。そのため、さまざまなプロダクト・サービスがある中で、売上の見込みが立たない新規事業は選ばれにくい傾向があります。さらに新たなプロダクトへの技術的な知識が不足していることで、顧客への提案が十分でないこともありました。

こうした問題を解決するため、プロダクト開発チーム主導で「The Model」を取り入れました。現在はアカウント営業の提案を代行するフィールドセールスの設置に始まり、マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスを置く「プロダクトビジネスチーム」として、アカウント営業チームと連携しています。
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猪飼 綾(イカイ アヤ)
キクカク及びライティングユニットおたばぶのライターとして、IT・機械技術を中心に、ものづくりから飲食まで幅広い分野で取材・執筆。また、読者に愛されて、積極的かつ継続的な購買につながるファンマーケティングの観点から、オウンドメディアの運用支援やSNS運用など、Webマーケティング、ブランディング支援を行う。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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