第2回は、分業体制により「売り手都合」の効率性を重視した結果、肝心の「顧客体験」が置き去りにされやすいという構造的な問題を解説した。では、私たちは本来、どのような体験を顧客に届けるべきなのか? 今回は、単なる商品の売り込みを超えて「この会社なら信頼できる」「また話したい」と自然に思ってもらえるような「理想の顧客体験」の本質について、実体験を交えながら探っていく。
顧客の「選ぶ目」は、かつてなく厳しい
まず前提として、第1回でも触れたように、顧客の購買行動は明らかに変わってきている。
ウェブで検索すれば情報はいくらでも手に入るし、競合製品も無数にある。選択肢が広がったことで、顧客自身が「どの会社が最適か」「どの会社がいちばん信頼できるか」を冷静に見極めようとする時代になった。
実際に、HubSpot Japanの調査によると、「どのような印象を持つ会社のサービスや商品を購入したいと思いますか」という質問に対し、「信頼できる会社」という回答が39.2%で第1位に挙がっている。
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そんな中で、従来のように「とりあえず提案」「とにかく接点をつくる」といった「売り手都合」のアプローチは、かえって不信感につながりやすい。
必要なのは、まず信頼関係を築くこと。商品やサービスを売り込む前に、「この会社なら相談してみてもいいかも」と思ってもらえる存在になることだ。
では、どうすれば良いのか。そのヒントとなるのが、私自身がかつて顧客として体験した、ある企業のアプローチだ。
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株式会社イノーバ 代表取締役社長CEO 宗像 淳(ムナカタ スナオ)
福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。 MBA留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクス...
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