デジタルマーケティングのコンサルティング事業とソフトウェア開発を手がけるビービット。今年4月にリリースした、デジタル行動観察ツール「ユーザグラム」はすでに80社を超える導入実績を持つ。「ECzine Day 2017 Autumn」に登壇した同社のソフトウェアサービス コンサルタント 生田啓氏は、ユーザグラムのコンセプトである、一人ひとりの行動データから顧客体験の改善につなげる方法について、成功事例を交えて語ってくれた。
なぜ、施策は失敗するのか 事例に学ぶ現状のデータ分析の課題
はじめに生田氏は、現状のデータ活用における課題について、事例を交えながら解説を行った。
1つ目に挙げたのは、リピート購入を促す施策がうまくいかなかったECサイトの事例だ。ロイヤルティの高い顧客を増やそうと、顧客データを定量的に分析したところ、5回の購入で継続利用率が高まるという相関関係が見られた。そこで、4回購入しているユーザーに対し、5回目購入時の送料無料キャンペーンを実施。結果として5回目購入は増えたものの、その多くが継続利用にはつながらなかった。生田氏は問題点をこう指摘する。
「5回という数字は相関関係であって因果関係ではありません。とにかく5回買っていただければいいわけではなく、本当は『なぜ5回買ってくださったお客様は、その後も継続してくださるのか』という顧客理解が必要でした」
2つ目に挙げたのは、中古ブランド品を扱うECサイトの事例だ。売上の大半を支えるヘビーユーザーの使い勝手を向上するため、検索機能の強化が企画されていた。サイトの全体的な傾向として、検索機能がよく使われていたので、ヘビーユーザーも活用していると思い込んでいたという。
しかし、実際のユーザー行動を観察してみると、検索機能をよく使うのはライトユーザーのほうで、ヘビーユーザーはほとんど使っていないことがわかった。ヘビーユーザーは新着商品を知らせるメルマガをチェックし、好きなブランド品が入荷すればすぐに購入していた。つまり、ヘビーユーザーに有効なのは検索機能の強化ではなく、好きなブランドに合わせたメール配信など、まったく別の施策だったのだ。

この2つの例のように、「定量的なデータの扱いだけでお客様がどう使っているのか、何が起きているかを見ていくのは非常に難しい」と生田氏は述べる。これまでデータ活用といえば、集計して定量的に分析することだったが、本当の顧客の状況がわからなければどんなデータにも意味がない。顧客一人ひとりの行動が生々しくわかる形でデータを使っていくことが重要であり、そのための定性手法「デジタル行動観察」こそが、データ活用の課題へのアンサーとなる、と語った。
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松岡 亜希(マツオカ アキ)
フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。
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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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