EC事業者がおさえておきたい、13のテクノロジー関連トピックスの「定点観測」。エイチアンドダブリューの橋爪さんに、動画について聞きました。※本記事は、2018年6月25日刊行の『季刊ECzine vol.05』に掲載したものです。
増える6秒のバンパー広告
認知だけに最適化しても成功しない
ウェブ動画関連の最近の動向について、「年度末需要も関係しているが」と前置きしたうえで、橋爪さんが感じているのは「広告が伸びている」とのこと。とくに目立つのは、YouTubeの動画再生前に流れる6秒の「バンパ ー広告」だ。ユーザー目線では、動画視聴前に「知っている商品を選んでください」といったアンケートに回答する機会も増えたように感じる。
「デジタルブランディング、つまり動画広告で認知を取りにいっています。スマートフォンが主要デバイスになって、検索が鈍化しているため、質の高い認知をいかに獲得できるかが勝負です。しかしバンパー広告を見ていて感じるのは、認知だけに特化し、全体のコミュニケ ーション設計を考えていないのではということ。そもそも、『この動画を見ましたか?『』このブランドを知っていますか?』といったブランドリフトがKPIであれば、動画広告に予算をかけ、数を配信するほど数値は向上します。しかし、コミュニケーションの質とは関係ないものです。とくにEC事業者の方は、実売やコンバージョン、LTVにつながる認知を獲得しないと意味がないわけです」
単純に動画広告の活用だけに着目すれば増えている印象だが、それだけでは売上に貢献してくれない。
「当社のクライアントでも、単純に動画広告を配信しただけ、戦略的にコミュニケーション設計を組み立てず、施策が後手にまわった企業は、2017年12月、2018年1月の売上が昨年同月比で落ちています。これは、業種問わず共通しています。売上が落ちてしまう原因は、よく言われる高齢化による日本の消費力の低下、スマホ化、競争が激化といったことです。落ちることがわかっているから先手を打つ、つまり、質の高い認知と質の高いコンバージョンを獲得しようとPDCAをまわしている企業に顧客が流れています。来年はもっと差がつくでしょう」
とくに動画を含めたウェブ広告について、部分的な広告運用についてはプロフェッショナルだが、ビジネスモデルの理解、全体を通したコミュニケーション設計について不得手な人が多いのではと橋爪さんは指摘する。
「顧客がどういったコミュニケーションを求めているかを考え、そのうえで認知領域ではどうする、エンゲージメント領域ではどうするという順です。ただ認知のためにウェブ動画を使っただけでは、最終的な売上につながらない。6秒間のバンパー広告は、たしかに良い広告商品です。しかしながらそれは、ユーザーにとっては15秒よりは短いからストレスフリーである、企業にとってはYouTubeという巨大なメディアでそれなりに認知がとれる、という次元のメリットだと思います」
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