ブログにカートをつけたシンプルな「カエルパルコ」。 いち早くデジタルに取り組むPARCOのECは、なぜこの形にたどりついたのだろうか。※本記事は、2018年6月25日刊行の『季刊ECzine vol.05』に掲載したものです。
全国でファッションビルを展開するPARCOでは、ショップブログにカート機能を付けた「カエルパルコ」というユニークなECサービスを提供している。自ら仕入れ・販売を行う小売業とは違い、テナント出店型のショッピングセンター・デベロッパーであるPARCOが、模索のすえ現時点でたどりついたECの形である。また、リテールのありかたが変わっていく中で、どのような展望を抱いているのか。「カエルパルコ」を起ち上げたパルコデジタルマーケティングの唐笠さんにお話をうかがった。

モール型ECから店頭と連動したカエルパルコへ
2014年にサービスを開始した「カエルブログ カエルパルコ(以下、カエルパルコ)」は、PARCOに出店する各ショップが投稿する「ショップブログ」にカート機能を追加し、ブログの記事からそのまま商品購入や店頭取り置き申込みができるサービスだ。カエルパルコでの売上は、そのまま各ショップの店頭売上となる。一般的なECとは違ったユニークなサービスは、どのような経緯で生まれたのだろうか。
カエルパルコ以前には、2007年から出店型ECモールである「パルコ・シティ オンラインモール」を運営していたが、2015年にサービスを終了している。唐笠さんは、「店頭とのシナジーが生まれなかった」と振り返る。PARCOという屋号はついているものの、実店舗とは関係性の薄い出店型モールであり、運営主体もPARCOに出店する各ショップではなく、テナント企業本部のEC事業部という形がほとんどだった。
「これは本来やりたいこととは違っていました。ショッピングセンターは商品を持っていない、自ら販売もしていない、物流も持っていないので、そもそもECとは遠いところにあるんです。店頭と別建てでやってもシナジーは生まれない。この形は難しいなと思っていました」
テナント企業から商品を預かって販売する仕入れ型のECを展開する選択肢もあったが、各テナント企業が自社ECサイトに主力しはじめていた時期でもあり、商品の仕入れは容易ではなくなっていた。すでにZOZOTOWNのような強いプラットフォームも出てきていたため、「シ ョッピングセンターにとっての最適なECのやりかたが見当たらない」状況にあったという。
現状に限界を感じ、新しいモデルを考えようという機運が高まったときに目をつけたのが「店頭」だった。
「店頭に立っているショップスタッフさん、テナント企業の本部、我々ショッピングセンター、みんながハ ッピーになる仕組みが必要だと思いました。今でこそオムニチャネルと言われますが、店頭を活かすECを考えることが命題だったんです」
店頭が主体となるECへと発想を転換したことで、ショップブログとの連動というアイデアに至る。
「2012~2013年当時のショッピングセンターのウェブサイトは、情報量が少なかった。お客様から見られているボリュームゾーンは、フロアガイドやアクセス、あと駐車場情報ぐらい。要するにコンテンツマーケティングが全然できていなかったんです。ショッピングセンターは自分で商品を持っていないし、売ってもいない。店頭の生の情報をもっと発信していくために、各ショップさんが店頭の情報を投稿できるショップブログを始めました。ブログで紹介した商品が売れ出したり、お問い合わせが入るようになって、ショップスタッフさんもお客様のリアクションを肌で感じられるようになった。そこで、せっかく頑張ってブログを書いてくれてるんだから、もっと直接的に店頭の売上や集客に繋げられないかなと。よし、ブログにカート付けちゃおう、みたいな。単純な発想ですが、そういう形でカエルパルコができていきました」
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- この記事の著者
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松岡 亜希(マツオカ アキ)
フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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