今なお成長を続けるEC・通販業界。さまざまなノウハウやトピックが生み出されている反面、表面的な部分に振り回されている局面も散見されます。EC・通販事業者として、そのビジネスの「本質」が何であるのか。事業者としてユーザーにどのように価値を提供していくべきか。プランクトンR 取締役 川部 篤史氏が、あらゆる切り口からロジカルに解き明かしていきます。今回も前回に続き、引き上げCRMについて。製品での効果実感が得にくい場合のスキームや、ECでのオートメーション連携の考え方と手法についてお話します。
前回、リピートビジネスのCRMをふたつのフェーズ、「引き上げCRM」と「継続CRM」に分けて、その目的を整理しました。そのうえで、製品利用による効果実感を得やすいケースの「引き上げCRM」として、乳酸菌の健康食品での実例をベースに詳細を解説してきました。しかし製品によっては、利用したことでの効果実感が得にくい、あるいは得られないケースもあります。こうした場合は、どのように引き上げCRMを構築していけばよいのでしょか。
効果を体感しにくい場合の肝は「頭の中での納得感を強固に作り上げること」
この場合、注力するべきは頭の中での納得感を強固に作り上げることになります。現在、私が推奨しているのは、複数の立場の人間から違ったアプローチや語り口で製品について語ることで、顧客の頭の中でより立体的な製品理解を作り上げる手法です。

たとえば青汁タイプの製品を例に挙げてみましょう。製品から得ることができるメリットは栄養バランスを整えることにありますから、毎日欠かさず摂取したとしてもなかなか違いを実感できるものではありません。このケースでは、製品の良さを様々な切り口から、それを語るにふさわしい人物が語っていくというスタイルをとりました。
最初のアプローチは、コールセンターのお客様対応係の立場から。初回購入時の受付担当として顧客にしっかりと寄り添ったスタンスを示し、サポートへの意気込みや製品への自信を伝えて、購買を決断したことや今後の利用についての安心感を得られるようにしました。体制構築とシステム連携の面でハードルは高いのですが、もし可能であればお客様一人ひとりに専任の担当者をつけ、その担当者からの発信で出し分けられるとなお望ましいでしょう。
続いてのアプローチは、工場の生産ラインの製造責任者であり、品質管理の責任者からの発信。お客様に納得いただける製品を提供し続けるための、いわば門番役です。日々の業務において欠かさない、製造現場での真摯な取り組みについて熱意を込めて語ってもらいました。製品のクオリティを約束することで、お客様が使い続けることへの不安を取り払い、製品への信頼感をより確かなものへと高める。製品の製造責任者だからこその、力強いメッセージとなりました。
その後は再び、お客様対応係からのアプローチ。お届けしてから数週間が経ったところで、まずは使ってみての感想を、お客様に聞き出すような問いかけから入ります。そして同じようなタイミングで集まってきた他のお客様の声を引用する形で、毎日の利用を忘れないための工夫や取り組み方を紹介する、といったイメージです。こうしてお客様の頭の中での納得感を高め、その後の継続利用について打診をする、というフローでした。
ちなみにこのケースでは、最初の広告購入時以降、トライアルからの引き上げ勧誘は一連のフローが完了するまで行いませんでした。当初に引き上げられなかった、継続購入に対してまだ十分な信頼を作ることができていないお客様に対するアプローチなのですから、販売促進目的でのプッシュは焦らずに、まずは製品の信頼感を高めることに徹したのです。
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株式会社プランクトンR 取締役 通販支援事業部長 川部 篤史(カワベ アツシ)
株式会社プランクトンR 取締役 通販支援事業部長 川部 篤史。
事業全体を俯瞰しつつ、豊富な知見に裏打ちされた、EC/通販事業での事業構築&製品マーケティング戦略立案・実行を得意とする。AI/オートメーションの活用や、中国越境ECにも明るい。現歴以前は、株式会社JIMOSで通販支援事業部長及びホールセー...
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