売上高が1兆円の大台に乗った楽天のビジネスに迫ってみた! 10月には自ら基地局などを設置・所有する通信会社、いわゆるキャリアとして携帯事業に本格参入する。
楽天の歴史はM&A、いやビジネスそのものである
21世紀における国内の成長産業といえば、情報・通信分野が代表格である。NTT(9432)、ソフトバンクグループ(9984)、KDDI(9433)の3グループがリーダー役として日本経済を牽引。ヤフー(4689)とともにネットサービス分野で確たる地位を築いてきたのが楽天(4755)だ。
ヤフーはソフトバンクグループの一員。一方の楽天はグループのリーダーである。海外展開や投資分野、スポーツ事業などで親会社との役割分担が可能なヤフーとは異なり、楽天は自らが主導する。グループにおける立場は対照的だ。

楽天の沿革を確認しておこう。
旧社名のエム・ディー・エムとして、ネットショッピングモール「楽天市場」のサービスを開始したのは1997年である。わずか13店舗での出発だった。
楽天への商号変更は1999年。カタカナや英文字を使用するネット関連企業が多いなかでの漢字社名は、認知度アップなどで有利に働いたことはまちがいない。作戦勝ちといっていいだろう。
楽天の歩みは、M&A(買収・合併)の連続である。
日本に上陸していた米国系のポータルサイト、インフォシーク(現在はサービス名)を買収したのは2000年である。
2003年に買収・子会社化したのは、宿泊予約サイト「旅の窓口」を運営する日立造船(7004)の子会社マイトリップ・ネット(現楽天トラベル)と、三井住友銀行系のDLJディレクトSFG証券だ。
国内信販(現楽天カード)の買収は05年。06年には航空会社のANAホールディングズ(HD/9202)と楽天ANAトラベルオンラインの合弁設立に動いている。
イーバンク銀行(現楽天銀行)の子会社化は09年。10年に買収したのは電子マネー「Edy」を運営するビットワレット(現楽天Edy)である。
楽天のM&Aはその後も続くが、旅行・宿泊予約関連に加え金融事業が目立つのが特徴だ。いずれもネットとの親和性が高く、利用の拡大が期待できると見込んだにちがいない。その先見性こそが、今日の楽天を築いてきたわけだ。後に続くLINE(3938)やメルカリ(4385)などが金融事業への参入を急いでいるのは、楽天の成功例を見ているからだろう。楽天と比較されることが多いヤフーも金融事業の拡大に注力してきた。
M&Aそのものが楽天のビジネスモデルである、といってもあながち的外れではないだろう。
12年のアイリオ生命保険(現楽天生命保険)、18年の朝日海上火災保険(現楽天損害保険)の子会社化で、楽天はカード・銀行・証券・生保・損保のフルライン商品を扱う総合金融会社を実現。国内旅行の取扱高では、JTBに次ぐ2位まで躍進してきた。
楽天は海外でのM&Aも推進。電子書籍サービスを展開するカナダ企業のKobo(現楽天コボ)の買収は12年。会員制オンライン・キャッシュバック・サイトを運営する米Ebates(イーベイツ)の子会社化は14年である。台湾、フランス、スペインなどでも買収を手がけたり、地元企業との合弁展開に着手してきた。必ずしも成功例ばかりではないが、海外事業も徐々に拡大。現在、楽天の売上高の2割は米国など海外である。
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ビジネスリサーチ・ジャパン(ビジネスリサーチ・ジャパン)
1995年設立。代表・鎌田正文。週刊誌や月刊誌、経済誌などを中心に、金融・流通・サービス・メーカーなどの各分野から経済全般まで、幅広く取材・執筆。著者に『図解! 業界地図 2018年版』(プレジデント社)、『図解 これから伸びる企業が面白いほどわかる本 2012年版』(新人物往来社)、『図解 人気外食店の利益の出し方』(講談社+α文庫)、『[図解]儲けの秘密がよくわかる本』(PHP研究所)、『[図解]気になるあの会社の給料がわかる本』(PHP研究所)、『取締役の値段 6: 社会インフラ関連業界 [Kindle版] 』、『図解!業界地図2017年版』など。
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