EC事業者がおさえておきたい、13のテクノロジー関連トピックスの「定点観測」。フラクタの河野さんに、ECシステムについて聞きました。 ※本記事は、2020年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.14』に掲載したものです。
スピーディーなサイト開設の需要増 新施策への取り組みはポジティブに
前回は、Shopifyの利便性とECシステムを選定する際のポイントをレクチャーした河野さん。ECに新規参入する企業は、かつてない勢いで増加しているが、実店舗中心でビジネスを行ってきた企業がこれまでの売上を取り戻すには、長期的な視点が必要と言える。
「従来、意図的にEC進出せず実店舗展開を行っていた企業も、5月以降続々と自社ECを開設しています。こうした動きの中で、ShopifyやBASE、STORESといったスピーディーにサイト構築ができるサービスへの期待値が高まっているのが現状です」
Shopifyでサイト構築を行うプレイヤーやSIerも増え、ECシステムにまつわる産業は拡大する一方で、河野さんは今の市況感に対し危惧している部分もあると続けた。
「これまでのECは、顧客の利便性を高めたり、世の中全体のEC化率を引き上げたりと、ポジティブ起点で発展してきました。ところが現在は、実店舗が営業できない、営業できても売上が立たないから何とかしなくてはいけない、とネガティブ起点でECを始める方が多く、やむを得ない状況ではありますがマイナスの力学が働いてしまっている点が気がかりです」
とくにアパレル業界は、実店舗をビジネスの主軸とする企業が大半を占め、季節を先読みし先行投資を行うこともあり、現状に絶望感を抱く人も多いだろう。先行き見えぬ不安もあるが、河野さんは「10年後に来ると言われていた未来が一気に目の前にまで来てしまったと考え、数年かけてやろうとしていたことを前倒しで取り組む思考に切り替える必要がある」と述べる。
「デジタルにおける取り組みは、これまで定量的な数値を得る必要がありました。実店舗というホスピタリティを提供する空間がすでにあるからこそ、なかなか積極的なプレイヤーが出現しない状況でしたが、コロナ禍において、パリコレが初のデジタル開催を試みたり、アパレル各社がオンライン展示会を開催したり、日本国内でもオールユアーズなどがオンライン接客を始めたりと、デジタル上でリアルな接点を持ち、顧客を楽しませる取り組みが多方面で行われています。できないことばかりに目を向け悲観的になるのでなく、未来のあるべき姿を想像しながら新たな実店舗とオンラインのありかたを考えていくことが非常に重要と言えるでしょう」
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