SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

Retail & Commerce Standard 2026 powered by MarkeZine & CommerceZine

「人」と「案件」をつなぐADR実践論

MQLが増えても商談につながらないのはなぜ? 「人」と「案件」のギャップを埋めるADRが必要な理由

熊倉 宏紀[著]

個人単位を案件単位に束ねるのがADR

 Buying Groupの動きを捉えようとすると、個人リードを中心としたマーケティング/営業活動では限界があります。

 たとえば、A社の担当者が資料をダウンロードし、A社の別部署の責任者がセミナーに参加したとします。個人単位では別々の反応ですが、同じ課題や購買テーマに関する動きであれば、1つのBuying Groupとして捉えられます。しかし実際には、2人目の反応が重複リードとして処理されたり、最初に反応した1人のリードだけが営業担当者へ渡されたりすることがあります。これでは、同じ企業で複数の関係者が動いていても、その動きを1つの購買案件として認識できないでしょう。

 MQLが増えても商談につながらない背景には、こうした「人」と「案件」の管理単位の違いがあります。MAツールが捉える単位が人である一方、営業担当者はSFAやCRMでOpportunity、つまり案件を追っています。人と案件の間をつなぐ役割が、本連載で取り上げるADR機能です。

 Forrester B2B Summit 2026のワークショップでは「Buying GroupをCRMやSFA上でどのように扱うか」についても議論されました。そこで紹介された機能の1つがADRです。本連載ではADRを、個人単位で得られた反応を企業の購買テーマと結び付け、営業が追う案件へとつなぐ機能として扱います。

 ADRの役割は、単にアポイントを増やすことではありません。同じ企業から得られた複数の反応を整理し、どのような課題や購買テーマに関する動きなのかを把握します。さらに「既に接点のある人が購買にどう関わっているのか」「ほかにどのような関係者との接点が必要なのか」を見極め、Buying Groupを形成していきます。

 たとえば、営業担当者が重点企業ごとに攻略計画を立てていても、マーケティング担当者やインサイドセールスが個人リードだけを追っていては、営業の方針と日々のマーケティング活動がかみ合いません。ADRは、営業が狙う企業や課題を踏まえて、営業のアカウント戦略をマーケティングやインサイドセールスの具体的な活動につなぐ役割です。

すべての企業/事業にADRが必要なわけではない

 筆者が述べたいのは、必ずしも「ADRを新たな役職として新設しましょう」ということではありません。専任者を置く場合もあれば、既存のマーケティング、インサイドセールス、営業企画などが機能を分担する場合もあります。組織上の名称ではなく、重点企業の複数の接点を1つの案件へまとめる役割を誰が担うのかがポイントです。

 また、すべての事業にADRが必要なわけでもありません。低単価のSaaSやSMB向けのように、短期間で多くの案件を扱う事業では、個人の反応を素早く営業へ渡すほうが合理的です。一方、重点企業を個別に攻略し、複数の関係者との合意形成が必要で、案件化や受注までに長い時間を要する事業では、ADRの機能が活きてきます。詳しい条件は第3回で扱います。

 次回は、インサイドセールスがSDR、BDR、ADRなどの機能に分かれる理由を整理します。それぞれの名称を覚えることが目的ではありません。見込み客への対応、重点企業の開拓、Buying Groupの形成と案件化を、それぞれ誰が担うのかを考えます。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

熊倉 宏紀(クマクラ ヒロキ)

マーケットワン・ジャパン合同会社 デジタル&コンサルティング部 部長

リコーに入社し、大手法人営業を経験後、グローバルの製品マーケティングに従事。マーケットワン・ジャパン入社後は大手日系製造業や外資系ハイテク企業向けに、マーケティング戦略設計やデータ活用に向けたデジタルマーケティングの推進のコンサルティ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング