営業組織が目標達成に向けて一体となるためには、戦略や戦術だけでなく、組織全体のビジョンを共有し、同じ方向を向いて取り組むカルチャーを醸成することが不可欠です。しかし、数値的成果に直接結びつかない取り組みは、その重要性が理解されにくく、浸透させるのが難しいという課題があります。そうした中、リクルートでは各事業でクレド(従業員の行動指針)を設定しています。中でも「ホットペッパービューティー」では、ほかの事業に先駆けて2010年からクレドを設定して営業現場に浸透させ、重視してきました。全国で約2,700人もの営業メンバーが働く組織において、クレドはどのように浸透し、どのような影響をもたらしているのでしょうか。リクルート ビューティーDivisionの和田さんのお話から、営業組織におけるカルチャー変革・醸成のヒントを探ります。
すべての関係者の期待から生まれた「ホットペッパービューティー」のクレド
──和田さんのキャリアと現在の役割を教えてください。
飲食領域・美容領域を扱うフリーペーパー「ホットペッパー」の営業担当として、2001年にリクルートライフスタイル(現リクルート)へ中途入社しました。営業マネージャーを経て美容領域の営業戦略/戦術を推進する部門へ異動し、現在は同部門の部長職を務めています。
──多くの営業組織ではKPIや売上目標の達成を営業活動の軸に据える中、「ホットペッパービューティー」を担う営業組織はクレドを重視しているとうかがいました。なぜ、クレドを重視しているのでしょうか。
もちろん、営業組織にとってKPIや売上目標は重要です。その中でクレドは、事業および営業活動の根幹となる理念としてとらえています。
クレドを重視するようになったきっかけは、「ホットペッパー」の飲食領域と美容領域を担当する事業が分割されたことにあります。もともと「ホットペッパー」はひとつの事業で営業活動や事業運営を担っていました。売上の大部分を飲食領域が占める中、美容領域をさらに成長させるためには独自戦略を描いたほうが良いのではないかという発想のもと、2010年4月にセクションが分かれたのです。
こうして美容領域の戦略を検討する中で、営業やスタッフ、かかわるすべての人の期待や想い、“ありたい姿”を共有するために、クレドを設定することになりました。
──クレドはどのようにしてつくられたのですか。
「ホットペッパービューティー」に掲載する美容院などのクライアント、「ホットペッパービューティー」を利用してお店を予約するカスタマー、そして、退職者を含む美容事業に関わってきたすべてのメンバーに「ホットペッパービューティー」に対する期待をヒアリングしました。その中から「ホットペッパービューティー」が大切にしたいことは何か、約10ヵ月のディスカッションを経てつくられたのが現在のクレドです。「日本中の街にBeauty Smileを。」というビジョンのもと、行動指針とミッションを設定しています。
クレドは社内資料や社内イントラに掲載するほか、カードを作成して美容事業の全メンバーに配布しています。社員証とともに、ネームホルダーへ入れて持ち歩いているメンバーが多いですね。

──クレドをつくる際、クライアントやカスタマーからどのような期待が寄せられたのでしょうか。
たとえばクライアントからは「経営者はなかなか経営について相談する機会がない。『ホットペッパービューティー』への掲載や集客にとどまらず、経営の良きパートナーであってほしい」という声が多く寄せられました。
もちろん、「売上や客数の増加をサポートしてほしい」といった具体的な要望もいただいています。それらの期待を実現するために我々はどうあるべきか考え、具体的なアクションにつなげられるかたちでクレドに落とし込んでいきました。
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SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)
新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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